山岳映画『MERU/メルー』

丘歩きの後に山岳映画『MERU』を鑑賞してきた。険しく危険なルート、壮絶な登攀の末に登頂するパーティー・・・あれ?今日の山行と似ているな「わかるわ~、その気持ちわかる!丘のピークを踏んだ時のこみ上げてくる感情と同じだわ~」
山岳映画『MERU/メルー』
山岳映画はありきたり設定に飽きてしまい最近は観なくなった、映画館で鑑賞したのは2011年の『岳』と『ヒマラヤ 運命の山』が最後で、『神々の山嶺』も観ていない。

最近(近年)の山岳映画


『ビヨンド・ザ・エッジ』

『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』

『エベレスト 3D』

『クライマー パタゴニアの彼方へ』

エベレストばっかり・・・
『エベレスト 3D』は3Dという点で少し興味があったが、結局上映期間が過ぎてしまいDVDで鑑賞した。
感想はつまらなかった、エベレストのお決まりストーリー、てかどの作品もそうだけどエベレストを美化し過ぎ!エベレストは難しい山だと思うが、数多くの登頂者の経験から登りやすくなっていて、現在は命をかける山ではなくなっている。
それでも登頂は運の部分が大きく、天候が荒れれば登頂は断念せざるを得ない、天気と積雪状態が良ければ一発で登れるし、悪条件に阻まれ何度も撤退をする人もいる。

限られた時間(休暇)で登ろうとすると、客は無理してでも登頂したいという気持ちになるし、ガイドはそれに応えようとする。
「俺は何度も失敗して次の機会は無いんだ!」「わかった!私が登らせてやる!」「もうダメだ」「酸素ボンベが無くなった」こんな無謀な登り方して、登頂したとか生還したとか言われても感動はできないよね。

一番の問題は目的が不純な事だ。世界一高い山だから、皆んなが憧れる山だから、名誉が得られるから、でもできるだけ安全に登りたい。そーゆー山を題材としてストーリー性を持たせる事は、逆にエベレストの価値を下げているようにも感じる。

まぁ、そんな理由で敬遠してきた山岳映画だったが、今回は映画館に足を運んだ。正直内容に関してはどうでもよかった、単純に美しい山の映像を大画面で見たいという理由で観ることにした。

『MERU/メルー』


内容に関しては期待していなかったが、感想は

「超面白かった」(面白いというか共感する点が多く感動した)




『MERU』オフィシャルサイト

オフィシャルサイトには
「登山の映画じゃない。登山家の映画だ。」
「人間より強いものはない。」
「大自然との、殴り合い。」
「挑戦するのは、人間だけだ。」

とエベレスト系映画の臭いコピーが書かれているが、内容は誇張表現のないリアリティの高い作品だった。サクサクと展開して無駄のないテンポ、大げさな表現はないが各シーンに見入ってしまった。

それもそのはず、この映画はジミー・チンが監督(撮影も)なのだ、山の映し方は他の山岳映画とは異なる。
一般的な美しさとクライマーが感じる美しさは違う、クライマーは山の美しさを一番知っていると思う。クライマーは危険を好んで難しいルートを登るわけではない、その頂が美しいから魅せられ、登りたいという気持ちになるのだ。
ピークや尾根、岩壁や氷壁は険しければ険しいほど美しさを感じる、これは登りにくいから美しいのではなく、シンプルなものほど美しいのだ。透明のガラスと凸凹して透けていないガラスなら、透明のガラスの方が美しい、岩壁も同じで手がかりのない壁は洗練されているとも見ることができる。

この映画はパートナーの存在について語られている(テーマ)。
その意味ではタイトルは原題のままだが伝わりにくいから独自の邦題を付けてもよかったかもしれない、『君がいるから。』ならそこそこ集客できたかも・・・「君の名は。みたいな映画を想像していたのに全然違うじゃん!!」
それか『相棒』、水谷豊と反町隆史の関係とこのパーティーの関係を比較してみると面白いかも。

私は過去に同じような経験があったので感情移入できた、クライミングでパーティー山行をした人には共感できる話だと思う。

パーティーメンバーが事故に遭ってパーティを組むかの判断をするシーンがあるが、私の場合は大きな事故を起こした後は山に誘う事はできなかった。九死に一生を得ても、次は命を落とすかもしれない。その配慮はその人に対してではなく、その人の家族に対する部分が大きかった。でもそれは建前であり、本音は登りたいという気持ちがあった。

この映画ではそれでもパートナーとしてパーティーを組んだ、この純粋な選択に感動した。
この選択は非常に難しい、事故で損傷してそれが山行に影響して結果パーティーが全滅するかもしれない、普通に考えればそんな人間をパーティーには加えない。
そのリスクがあっても選んだ理由とは何か?それはこの3人じゃなければ登頂しても意味がないということだろう。個人の成果よりパーティーを重視する。頂を目指すことが目的ではない、信頼できるパーティと登る行為に幸せを感じているのだろう。未踏とか最難とかはモチベーションを保つ要素であって、実はその部分はそんなに重要じゃないのかもしれない。

内容はクライミングですが、ヒューマンドキュメントなので山を知らなくても楽しめる映画だと思います。単独の人はこの映画を観て人と登る楽しさに魅力を感じるかもしれないし、ハイカーの人ははクライミングに興味を持つかもしれない、興味ある人は是非観てください!!(大迫力の映画館がいいです)

ストーリー性は無くていいから、ロングトレイルを題材にした映画とか作って欲しいなぁ。壮大な山の映像がメインで、終始その映像が流れているだけでもいい。8Kカメラで撮影した映像、これこそ映画館で見る価値がある映像だと思う。

作中で感じた事


師匠と登るのは危険でもある

これ解るわ~、これはとても感じた事だ。

自分の力で迷惑をかけずに何とかしたいという気持ちはあるのだが、無意識に頼ってしまう。不安な時は「この人が居るから大丈夫」と自分で解決することを投げてしまう。
適正グレードや低いグレードのルートならそれでも問題はないが、チャレンジするようなルートや過酷な状況の場合はこれが問題になってくる。師匠はその立場から責任を感じて無理に頑張ってしまう、師匠じゃなくてパーティーリーダーや隊長もそうだけど、「自分がなんとかしなくちゃ行けない」と気張ってしまい、それが悪い結果をもたらすことになるケースがある。

だからパーティメンバーはイーブンな関係を保つのが重要だ。師匠でもその関係を築くことは可能だと思う、ある程度の経験を経たら自分の考えを発言する、自分の考えを主張しそれを受け入れてくれる、そういう信頼関係が必要だ。

この山(ルート)の難しさ

このルートの難しい点は高所のビッグウォールという事だ、通常の高所装備に加え、ビッグウォールの装備が必要となる。ビッグウォール装備はめちゃくちゃ重い、激重のポーターレッジ、数セットのカム、ブレードなどのハーケン類にハンマー、それと氷と岩のミックス帯なのでスクリューやアイスピトンも必要だ。
極寒で高度がなかなか上げられない、寒さの点ではトップよりビレイヤーの方が辛いだろう。

3人パーティー

このルートは3人パーティーが最適だと思う、2人パーティではこのルートは登れない可能性が高い。
それは装備の問題で、2人パーティでも3人パーティーでもギア(登攀具)の量は変わらない、垂壁なら荷揚げを行うがアプローチを含めそれ以外は装備を背負うことになる。2人なら1/2の重量、3人なら1/3と軽くなるから3人の方が体力的に楽になる。
では人数が多ければよいかというとそうでもない、4人5人6人と増えればそれだけ登るスピードが落ちる。2人と3人では2人パーティーの方がスピードは早いが、実はそんなに大きな違いはない。登る時間を1とすると、2PTならトップで1、セカンドで2、3PTだとトップで1、セカンドで2、サードで2.3という感じになる(トップと違い終了点が作られているので、サードはセカンドが登り終えるまで待つ必要がない)。
トップの交代枠が多いとそれだけ体力を温存できるし、また3PTは意見がまとまりやすいというメリットもある、ナーバスな状況や2人で意見が食い違った場合など、それが起因して敗退に繋がることもあるが、3人だとその辺がうまく調整できる。

3人パーティーというのは良い事だらけではあるが、スピードが若干落ちるので、混雑するルートなどは2人パーティの方が好まれる(一番迷惑なのは4・5人PT並の時間を要するソロシステム)。

クライミングをやりたいなぁ

この映画を見ていたらクライミングをしたくなった。でも、この歳で信頼できるパートナーを見つけるのは難しい、たとえ性格や価値観が合った人と巡り会えたとしても、色々な事に配慮して無茶はできない。まぁ、危ない事をやりたい訳じゃないから、それなりのグレードのルートでもいいんだけどね。
それに私はハイカーで満足している、「ハイキング王に俺はなる!」
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