白銀の光岳(下)

ようやく光小屋に辿り着いたが、諸事情によりこの主稜線の起点で敗退を余儀なくされる。初めは「もっと歩きたい」と悔しい気持ちだったが、徐々に「早く下山したい」という気持ちに変わっていった。
白銀の光岳(下)
光岳(光小屋)に着いた日に足を怪我した。この怪我では主稜線を歩き続けることはできない。また予想外にガスを消費してしまい、燃料も足りなくなってしまった。
敗退の決定は悲しくも嬉しかった、寒さとラッセルと孤独に耐える日々に嫌気が差したのか、苦行から解放された気分で安堵した。あとは下山するだけ、ここからは一般登山道なので何も考えず気楽に歩くこともできる。早く下山して便利で快適な生活に戻りたい。

しかし、物事はそううまくは運ばなかった。私の十八番の道迷い、そして天候不良による停滞、痛めた足での長い林道歩き、最後の最後まで試練は続くのだろうか?

ルート Day6-11(光小屋~大野)



距離:19.491km
累積標高(+):1210m
累積標高(-):2808m
※GPSデータはカシミールで作成

山行記録


Day6の夜


小屋に入りテントを張る。小屋といっても雨風を凌ぐ程度の作りなので、別段暖かいわけではない(断熱材やソーラーパネルで稼働する暖房でも付いていたらいいのに)、ただ安心感はあるし、床が平坦なのもありがたい。

シュラフに入って体を温めようと靴を脱ぐ、「あれ?靴下が赤く染まっているぞ?」恐る恐る靴下を脱ぐと・・・・・・


やってしもうた。。過去にこの怪我は何度か経験している。
靴が濡れる ⇒ 足が冷やされてむくむ ⇒ 毎日ラッセル ⇒ 凍傷になる ⇒ 水泡ができる ⇒ こすれて破ける
3日目のベタ雪で濡れ、その後は毎日ラッセル地獄、運が悪いというより当然の怪我ともいえる。南アルプスは雪が少ないと思って靴の選択を誤ってしまった、ダブル構造の革靴にすればこんな事にはならなかったのに。とりあえず応急手当をして大事に至らないことを願った。シュラフに入ってくつろいでいると、怪我をした指先に痛みを感じてきた(行動中は寒さで麻痺)。イタタタタタ、イタタタタタ

「痛い!!!!」

あまりの激痛に声がでる、指が切断されているような激しい痛みだ。私は痛みに強い方だと思うが、この痛みはじっと耐えられるレベルではなかった。体を動かしたり、頬をつねったりと意識を分散させ少しでもこの痛みを和らげようとした。一番効果が高いのは声を出すことだったので痛みが収まるまで叫び続けた(もし小屋に他の人が居たら小声で叫んでいたと思う)。
光小屋に轟く「痛い!」や「ファ○ク!」の叫び声は約1時間続いた(ホラー映画のようだね)。。

Day7(晴)


今日は怪我を悪化させないために小屋で養生する事にした。そして、昨日の激痛から敗退を決定した。残念ではあるが納得はできた、例え怪我がなくても装備に不備があったので(燃料不足)踏破は十中八九できなかったと理解した。

本日は晴天、音楽を聴きながら窓越しの景色を楽しんだ。真っ白な南アルプスの山々、聖岳の姿を見れば誰もが頂上に立ちたいという気持ちになるだろう。その後ろには私の大好きな赤石岳が・・・正直、今回のルートの中で聖・赤石・荒川以外の山には興味は無かった、この区間だけ歩ければ、踏破できなかったとしても十分満足できる(怪我がなければ三伏峠から下山していたと思う)。目の前で誘惑してくる山に登れないというのは、なんとも歯がゆい気分だ。

光岳のピストンくらいはしても良かったが、靴を履いて圧迫させたくない事と、ピークを踏むことに興味がない事と、今日は目的意識を持たずのんびり過ごしたいという理由で、結局小屋からは一歩も外に出ることはなかった。

何をしているわけでもないのに、いつの間にか日暮れになっていた。せかせかと目的を持つことより、何も考えず何もしないという方が、有意義に過ごせたと感じる今日此の頃。



のんびり過ごせたお陰で疲れが取れ、食欲が湧いてきた。
雪山に登ると痩せる、そして下山後は異常な食欲が襲ってくる。私は山行中は食欲のスイッチがOFFの状態となり、下山した瞬間にスイッチが入り食欲旺盛になる。これは意識の切り替わりでもあり、山行中は常に緊張感を維持している所為で食欲不振になる(空腹感はある)。
まだ山行中なのに食欲がONになった原因は、今後の行程(バリエーション区間を終え後は一般登山道で下山するだけ)と終日のんびり過ごした事で緊張が解けたと考えられる。

6日間で消費した食料は、乾パン1袋、粉末スープ5袋、インスタント麺3袋、つまみ少々、チョコレート少々、のど飴少々、あとは水分(紅茶とレモネードとほうじ茶)と最低限の量しか食べていなかった。たばこは1日10本位、たばこはエネルギー補給とは関係ないが、単純に美味しいのとリラックス効果があるので欠かせない。

予定より少ない消費量と今後の分(16日分)で食料は死ぬほど余っている。残すより消費した方が荷物は軽くなるので、食べまくる事にした。2日に1度、美味いものをレトルト食品を持ってきたが(8袋)全く手を付けていなかった。カレー×2、親子丼、シチューと4日分のおかずを一気に平らげる。それでも収まらない食欲、つまみやチョコなど、常に口を動かしていないと落ち着かない状態だった(私は自制心が弱い)。
乾パンは無駄に余っていたがこの状態でも食べたくなかった。乾パンははっきり言って美味くない、単体では味気なくレトルトやスープに混ぜると乾パンだけじゃなくレトルトの味まで不味くなる。ということで小屋に3袋置いてきた(処分じゃなくて困った人への配慮です・・・)。


Day8(曇のち雪)


光岳からのエスケープルートは、茶臼岳から畑薙ダムに下る南下ルートと、易老岳から易老渡に下る西進ルートの2つ、静岡県に下りた方が帰りが楽なので畑薙ダムに下りることにした。今日は茶臼小屋に泊まり、翌日畑薙ダムに下り接岨峡温泉まで林道を歩く。

畑薙ダムから接岨峡温泉までは約35kmと長い、足の状態も悪いしできれば歩きたくない。私は考えた(ニヤリ)。今日は土曜日、畑薙ダムから茶臼岳(上河内岳)はそこそこ人気があるルートなので誰かが登っているかもしれない。茶臼小屋でこれまでの苦労を話し同情を誘う、翌日車に乗せてもらい接岨峡温泉へ。ナイスアイデア!!

準備を済ませ茶臼岳へ出発。ありがとう光小屋、お陰で体も心も回復する事ができた。今後二度と来ることもないと思うと、名残惜しい気持ちになった。


光小屋付近は眺望に優れている、また平坦なのに歩きやすい。風が強い所為か雪が積もらず、うっすら木道が見えるくらいの積雪だった。場所によっては積雪はあるがクラストしているので沈まない。これぞ理想の稜線歩きだ、雪面の状態が良ければ1日15kmは進むことができるだろう。



光小屋から易老岳は繋がりが悪く、300m程下って登り返すことになる。この区間は昔歩いたことがあるが樹林帯という事以外は記憶に残っていない(無雪期)。まぁ一般登山道だし、道標が導いてくれるだろう。樹林帯の谷筋を下っていく、この辺は積雪が多くラッセルを強いられる。
前日までの進みの遅さで距離感がよくわからない、どの辺りまで下ればいいのか?途中登りの尾根が出現したが私はそれを無視して更に谷筋を下っていった(ポイントにはテープや道標があるものと思い込んでいた)。

「これは下りすぎじゃないか?」ポイントを通過した事に気付き現在地と修正ルートを考える。高い樹木に囲まれ現在地がよくわからない、どこまでがイザルガ岳の尾根でどれが易老岳に続く尾根なのか?東の尾根は下っているようにも見えるが、上っているようにも見えてきた。

状況が把握できず混乱する、そしてとんでもない事を考え始める。下りの途中にピンクテープが連打されている箇所があったが、私はそれを別ルートと思い込んだ。「あのテープは易老岳を経由しないで易老渡に下るバリエーションルートかもしれない」となると易老岳へのポイント(分岐)はその上部にあるという事になる(アホです・・・)。

テープの場所まで戻り更に上に登っていく、ポイントは見当たらないが東の尾根は易老岳の尾根に違いない。適当な場所からその尾根に取り付き登っていく、股下から腰の猛ラッセルで息が上がる。それにしても高度が上がりすぎじゃないか?三吉平から易老岳は130mアップなのにそれ以上登っているような気がする(アホです・・・)。

気にせずそのまま登り続ける、するとガスが薄くなり視界が少し開けた。「!?」私はその景色を見て固まった。
なんで右側に尾根があるの?


いやいや、私は間違っていない!地図がおかしいのか新しく尾根ができたのだろう。自分が間違っているのは解っていたが、認めたらそこで倒れてしまいそうなので抗った。
大雪に強い風に強い不安、木の下で休憩を取り真実を確認するために山頂へ。樹木の生えていないのっぺり広い山頂、「易老岳、中々素晴らしい山ではないか(真顔)」


「おぉ、山頂標識まであるのか、写真でも撮っておこう」・・・イ?ザ?ル?ヶ?岳?


その文字を見て落胆と同時に安堵した。一番最悪なのはこの風雪の視界が悪い状況で位置を見失うことだ、現在地を理解できれば次の対処ができる。天候は回復しそうもないので光小屋に戻ることにした。
天気は更に荒れ視界はどんどん無くなっていった、もう少し時間が遅かったら光小屋に辿り着けなかったかもしれない。


Day9(雪)


昨日から雪は降り続けている、今日は行動する予定だったがこの状態では動けないので停滞することにした。


昨日も靴を脱いでから激痛に悩まされた(叫びタイム)。もうこれ以上叫びたくない、怪我の悪化を防ぐため下山先を易老渡に変更することにした。エスケープルートについては調べていなかったが、光小屋に張られた情報(観光案内図や地図)でルートは理解できた。易老岳から易老渡に下って、林道赤石線で国道152号に出る、そのから南下すると遠山温泉郷となり、その先に平岡駅(飯田線)がある。温泉に入りたいし、ゆっくり疲れを取りたいから遠山温泉郷で宿泊しよう。
温泉につかり郷土料理をいただく、なんという幸せだ。風雪に耐え、深い雪をかき分け、夜の冷気に苛まれる、何だか雪山に登ることが馬鹿馬鹿しく感じてきた。

明日の天気が気になりラジオを聞く(私はその場で判断するので基本的に予報は聞かない)、聞くと今季最大の寒波が来襲しているとの事だった、昨日からの寒さとこの荒れた天候に納得した。そのままラジオを流す。そう言えば今日は千秋楽だった、相撲中継を聞く、琴奨菊が優勝を決める、日本人力士の久々の優勝に歓喜した。その後もチャンネルを変え色んな番組を深夜まで聞いた。
ラジオから流れる世界と今の状況のギャップ、「私はなぜこんな場所に居るのだろうか?」と自分の行動が不可解にさえ思えてきた。まぁ、ラジオを聞かなくても疑問は感じる、苦労の量が大きほどその意味について考える、そして答えは無い。恐怖を感じながらも困難な状況に身を置く行動原理の矛盾、「なぜ人は雪山に登るのだろうか?」

明日は天候が回復しそうなので、下山ルートを入念にチェックした。昨日間違えた易老岳の分岐ポイントを地図で何度も見返し頭に地形を叩き込む。念には念を、緊急用に携行した高度計も付けて準備万全(光小屋までのルートは敢えて高度計を使わなかった)。


Day10(晴)


晴れた!やっと下山できる!


あれだけ降雪があったのに光小屋付近は積雪が少なく歩きやすかった。平坦なのに積もりにくい、なんとも不思議な地形だ。それにしても素晴らしい景色だ。




谷筋からの下降路はやはり雪が積もっていた。腰上のラッセルで中々進まない。。易老岳の分岐はあっさりクリア、前日通過した登りの尾根を進んだところ、三吉平の標識を見つけた(高度計は精度が悪く数値が誤っていた・・・)。


尾根を見つけ安心したが、分岐から先は深い積雪に阻まれ難儀した。雪が無ければ楽な登りだが、緩やかな登りで木も高くないので積雪が多い。8時に光小屋を出発し、三吉平に到着したのが9時半(距離2km)、三吉平から易老岳までは距離1.5kmの標高差126m(アップ)となるが、このたった1.5kmの緩勾配の区間を通過するのに、何と5時間もかかってしまう(14時半着)。。腰から胸の猛ラッセル、奥義『ハイハイラッセル(四足歩行)』を駆使してもこれだけ時間がかかる程、物凄い積雪だった(本当に辛くて何度も泣いた)。

※三吉平でレンズの間に雪が入りカメラが壊れる(テントで修理)

易老岳には立派な道標が建っていた(見た時は感激した)、そして易老渡まではテープが豊富、道も歩きやすく明瞭だった。2000m位までは積雪は多かったが、勾配が強いのでサクサクと下ることができた。途中で日が暮れヘッデンを付ける、17時半に易老渡に到着。時間も遅いので光橋で幕営した。

猛ラッセルと長い距離を歩いたので足の怪我が悪化・・・この日の叫びは長く続いた。。

Day11(晴)


下山して一安心、ここまで来ればもう遭難することはない。あとは林道をテクテク歩くだけ・・・しかし、そのテクテクが意外とキツかった。雪があるうちは良かったが、北又渡からは雪のない固い路面となる。ガシガシと踏みつけると傷口が痛む。。
更に北又渡からは登り坂が続き、約200mも標高が上がる。「下山したのになぜまた登らなければならないのか?」登山口に下りた時点で私の山行は終わっている、気分的には1mですら登りたくないのだ。


この登り坂で怪我が悪化しペースが落ちる、やがて足を引きずって歩くようになる。このままでは何時に遠山温泉郷に辿り着くことやら・・・
赤石大橋を越えても登りは続く。つづら折れをショートカットし道に出ると、近くに軽トラックが止まっていた。やっと人が活動する場所までこれた事に安心する。大野の集落まで行けば気力も少しは上がるだろうと進み始める。暫く歩いていると、先ほど停まっていた車が走ってきた。そして私の横に止まった、そこに現れたのは神だった。

「大丈夫か?途中まで乗せてやる」

うぐぐぐぐ、泣きそうになる。入山してから不運続きでこの最後の試練でどん底に、そんな不幸な私に舞い降りた幸運。断る理由は無いのでありがたくお言葉に甘えた。助手席に乗るのは申し訳ない気がしたので荷台に乗った、風が気持ち良い、苦もせず進む自動車という乗り物に感激する。
その人はこの付近を狩場とする猟師さんだった。若い頃は山登りに興じていて子供が生まれて山をやめたそうだ。と言っても山をフィールドとした職業なので、山の事は何でも知っている、天候の変化、あらゆる地形、絶対に道に迷う事も遭難する事もないだろう。
次の狩場まで乗せてもらう。「仕事が終わったら送るからここで待っていたら?」と言われたが、仕事の邪魔(気遣って早く終わらせてしまう)になると感じ自分で歩くことにした。


大野の集落を歩いているとクロネコヤマトの車が走ってきた。「次はクロネコヤマトか、ラッキだな」暫くして車が戻ってくる。通り過ぎるクロネコヤマト・・・「おーい!荷物をスルーするな!!」まぁ、個人事業ならまだしも、大きな会社だから規則が厳しいのだろう(旅客運送の禁止)。


諦めて自力で頑張るも足の調子が悪く進みは遅い。お腹が減ったので道路脇でゆっくり昼食を取っていると・・・猟師さんが来てくれた。やはり気にして早く仕事を切り上げてくれたようだ(本当にすいません)。
国道152号(上島)からバスかタクシーを利用する予定だったが、目的地の遠山温泉郷まで送ってくれた。旅館の前で降りお礼を言うと、「泊まれるか確認してきな」と・・・何とお優しい人なんだ。旅館で宿泊を確認すると、泊まれるが食材がなく素泊まりしかできないとの事だった。。郷土料理が食べられないなら泊まる必要はない。すると猟師さんが自宅の飯田市まで送ってくれると言ってくれた。飯田は宿泊施設や飲食店が充実し交通の便も良いそうなのでお願いすることした。

車の中で山や狩猟についての話を聞いた、私はその考え方や価値観に惹かれた(優しくしてもらったからではなく)。狩猟に対する考え、欲に支配されない生き方、その人の性格も関係するが、自然と触れ合う環境が影響しているような気がした。

飯田の街は美しかった。国道152号と153号の間の峠(伊那山脈)からの景色が特に素晴らしかった。前方に広がる中央アルプス、後ろには南アルプス、こんな景色を毎日見れるのは幸せだろう。
私の足の怪我を気遣って便の良いホテルで降ろしてもらう(温泉付きホテル『湯~眠』)、近くには飲食店が立ち並び、新宿行きのバス停も徒歩10分と利便性の良いホテルだった(電車を利用する方が時間がかかる)。

お礼をしたかったが頑なに断られた。この優しさのお礼は何かの形で返していきたい、自分が逆の立場の時、困っている人がいたら率先して手助けをしたい。本当にありがとうございました。

ホテルで入浴し、いざグルメの旅へ!ステーキにパスタに唐揚げ、デザードなどいくら食べても満腹にならなかった。雪山と断食ダイエットは似ている、食事を制限すればリバウンドで逆に太ってしまう。「よく食べてよく寝てよく運動する」規則正しい生活を送る事が1番楽で効果のあるダイエット方法だね。

Day12(晴)


飯田市(伊賀良バス停)から東京(新宿)に移動。中央道から見える山々は白く、高尾の山にも雪が付いていた。東京も降雪があったのか、そりゃ南アルプスは豪雪になるわな。


ルート評価


1.5点

南アルプス 朝日岳~光岳~易老渡(積雪期)

景観  :★★☆☆☆
ルート :★☆☆☆☆
体力  :★★★★☆(積雪による)
継続性 :★★★★☆
アクセス:★★☆☆☆


何日もかけて雪の樹林帯を歩く事に喜びを感じる人がいるのだろうか?
この周辺の山が好きな人が興味本位で登るくらいで、美しい景色を求め雪山を登る人にとっては魅力の薄いルートだと思います。

登るなら積雪量が少ない時期が良いでしょう。南岸低気圧が通過すると一晩で50cm程の積雪、それが数日続くと1mを超えます。標高が低く風も弱い地形なので雪面は緩く、また緩勾配で吹き溜まる箇所が多く、ペースは極端に落ちてしまいます(ラッセル地獄)。

景観は光小屋付近の景色は素晴らしいですが、それ以外の95%は樹林帯の景色となります(飽きるし景色を楽しみむ余裕もない)。
ルートは不明瞭な箇所が多く、拡大地図かGPSが必要となります。『朝日岳の急登、朝日岳からの下降路、大根沢山からの下降路、信濃俣からの下降路、百俣沢ノ頭付近の吹き溜まり、三吉平の取り付き点、三吉平から易老岳の吹き溜まり』は注意箇所となり対策が必要です。
アクセスは、起点の寸又峡温泉までは、掛川駅(静岡駅)から金谷駅、そこから千頭駅でバスに乗り換えと面倒くさいです。終点の易老渡から国道152号までも、林道歩きが大変です(途中の北又渡では携帯の電波が入ったのでタクシーは呼べそうです)。茶臼小屋から下山する場合は車を利用した方が楽かもしれません。

タイム Day7-11


Day7:休息日
Day8:光小屋(7:29)~三吉平付近~(血迷う)~イザルガ岳(13:19)~光小屋(14:14)
Day9:停滞日
Day10:光小屋(7:55)~三吉平(9:24)~易老岳(14:30)~易老渡(17:48)~光橋
Day11:光橋~北又渡~大野~遠山温泉郷~飯田市(ホテル)

その他の写真


20160116-27


凍傷について


靴が濡れた状態で歩き続けたので、むくみ(しもやけ・凍傷)が酷く、下山後一週間経っても戻らない状態です。。日帰りや2・3日の雪山ならすぐに元に戻るのですが、今回は期間が長かったので症状が悪化したようです。また毎日深いラッセルを強いられた事も大きな要因で、締まった雪面なら軽度で済んでいたと思います。
※左の親指がⅡ度の凍傷(水泡ができて破ける)、それ以外はⅠ度
※手の指はグローブをこまめに交換していたので無傷


    凍傷の予防
  • 濡らさない
    防水性の高い冬靴を履く。スパッツで雪の侵入を防ぐ(防雪・防水)
  • 冷やさない
    保温性の高い冬靴を履く。保温性の高い靴下を履く
  • 血行を妨げない
    圧迫しない多少ゆとりのあるサイズの冬靴を履く
  • 冷やさない(行動中)
    靴に雪が付着していたらはたく。ラッセル中はなるべく雪の中で足を止めない。休憩時は雪の中から足を出す
  • 予防・処置(幕営中)
    幕営中は温めたり(靴下の重ね履きや象足)マッサージをして処置を施す

  • 行動中はなるべく素手を外気にさらさない(冷えたらすぐ温める)、幕営中は薄手のグローブで保温する

凍傷の治療
凍傷の治療はⅡ度以下なら自宅で治せます、黒くなったら(Ⅲ度)病院に行ってください。
擦り傷・切り傷・皮膚のめくれは『湿潤療法』がオススメです。表面の汚れを水で洗い流し、傷口にラップやビニール袋を巻いて放置するだけです。滲出液(浸出液)の臭いは少し気になりますが、この黄色い液が傷口を修復し皮膚を再生する細胞を助けてくれるそうです(自然治癒って凄い)。

むくみに関しては血流を良くすれば改善されるのですが、即効性の高い方法は無く、気休め程度で自然に治るのを待つしかないと思います。とは言え放置すると悪化する可能性もあるので、何かしら対処はした方が良いでしょう。
  • 温冷浴
    冷たい水とお湯を交互に浴びて血行を促進させる
  • 足の指を広げる
    指の間を広げて血行を促進させる(ペディキュア用セパレーターかティッシュを詰める)
  • マッサージ
    腿、ふくらはぎ、足裏、指先と下半身の血行を促進させる
  • 塗り薬
    薬やクリームを塗って血行を促進させる

『靴下の重ねばきや硬い靴をやめる』『温めすぎをやめる』『1日3食をやめる』この記事も参考になるかと思います。私の治りが遅いのは暴食が原因かもしれない(下山してから食いまくり)。 3つの意外な原因と改善策

凍傷は予防と異変を感じたらすぐに対処する事が大切です。

最後に一言

朝日岳でお会いしたハイカーさん、寸又峡温泉まで送ってくれたバスの運転手さん、金谷駅の駅員さん、パタゴニアの店員さん、軽々しく南アルプスの縦走なんて言ってしまいましたが、序盤の序盤で敗退してしまいました。ヘタレですいませんm(_ _)m
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コメント

そういうことだったのか。
てっきり全部踏破したのかと思っていた。
それでもすごい。よく無事でした!。
そしておもしろいし、感動してしまった。
めちゃ分厚い体験してる。

光小屋の写真もキレイだな~。

ちなみに私も山の中では食欲が絶えます。
山中で食べたくなるとしたら、山から逃げたい気分のとき。
で、下山するとモーーーーレツに食べる。

ちなみにちなみに、私はいろんな意味で南ア南と対照的な山
=唐松岳と赤岳に登ってきました。
これまた対照的に絶好の好条件に恵まれて、助かりました。

それにしても足がヒドい。
勉強になりますっ!(^^)!。
そういうことだったのです(*¯ω¯*)
いつものテキトー判断で痛い目に遭いましたが、この失敗はまた繰り返すでしょう(それが私のスタイルです)。。

食欲不振は緊張感が原因だと思いますが、私は慣習化してしまい、気楽な山行でも食欲が湧きません(入山するとスイッチが入ってしまう)。食料の節約(軽量化)という利点はありますが、適正なエネルギーを摂取することも大切です。山ではおいしく食事を摂りたいものです(改善したい)。

唐松岳良いですね!剣を眺めならのんびりり過ごしたいなぁ。
記事読んで久々に雪山行きたくなりましたー。こういう山行の方が記憶に残りますよね。凍傷いたそうですね。早く良くなりますように。
私はこの山行で雪山が嫌いになりましたぁ・・・ラッセルは当分したくないです。。
足は大分良くなってきました!早く治して山歩きがしたいです(雪山はイヤ)!
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