富士山からの朝焼け

師走になると朝焼けの富士山に心を奪われる人は多いだろう。私はその姿を見て考えた『朝焼けの富士山を見て感動する人、実はそこにはヤマラが居た』。うむ、これはナイスな企画だ。
富士山からの朝焼け
「私を見て!」というネタ発想は冗談で、「富士山から見える朝焼けはどんなのだろう?」という興味からこの山行を計画した。前回低評価を下し、二度と富士山に登ることは無いと誓ったが、毎朝美しい富士山を見ていたら魅力を感じるようになってしまった。嫌いなのに好いてしまう、富士山は魔性の山と言えよう。

富士山から朝焼けを見るには日の出時刻に山頂に着いていなければならない。「夜中に登って山頂でご来光」・・・これはシーズン期に人気の『弾丸登山』というものではないか。皆んなやってる事なら特に問題はないだろう。

ルートは前回が御殿場ルートだったので、別のルートを選んだ。須走ルートは以前チャリで二合目まで行ったので残りの吉田ルートとした(須走は今後自転車山行で登る予定)。吉田ルートは距離が短いので少し物足りない、そこで出発地を富士山駅としてみた。『山は麓から登る』これは私の拘りの一つで、その効果は山行にストーリー性をもたらせてくれる(景色の展開力が高い)。

ヤマラの弾丸登山、果たしてその結果は?

ルート



距離:36.125km
累積標高(+):2960m
累積標高(-):2960m
※GPSデータはカシミールで作成

山行記録


土曜日の夜に出発し、21時過ぎに富士山駅に到着する。富士の街は寒かった・・・原因は風、風で体感温度が低く感じる。
この風に少々不安になる。富士山は強風の場合は敗退以外の選択肢がなく、また吉田ルートというのは4つのルートの中で一番風が強いらしい。土曜日の日中に風がでていたので(東京で)中止するか悩んだが、天候自体が荒れていないので決行した。「まぁ、行ける所まで行ってみよう」

寒いので駅の休憩所で暖を取って出発した。
さて?富士山はどっちの方角だろう?確認がてら「富士山はこっちの方角ですよね」と訊いてみると「あっちです(真逆)」と・・・危ない、いきなり道迷いをするところだった。。国道139号に出て県道701号に入る、701号は暗くて静かな道だったが、時折車が走っていたので変な怖さは感じなかった。


1時間程で中の茶屋に到着。ここからは吉田口遊歩道を歩く。舗装路より登山道の方が百倍好きな私だが、正直この遊歩道の魅力はわからなかった。暗すぎて周りが見えない、熊は居なそうだけど何かでそう。楽しめないなら歩きやすい舗装路を歩いた方が良いと考え、途中の大石茶屋からは舗装路を歩くことにした(馬返しの手前で再度遊歩道を歩いた)。


23時半に馬返しに到着。駐車場にびっちり停めてある車の数に驚く(御殿場ルートに登った時は2人しか出会わなかったので、今回も寂しい山行を予想していた)、ここからは登山道となるので冬靴に履き替えた。


舗装路や先の遊歩道とは異なり、この登山道は歩いていて楽しみを感じる。そして短い間隔で現れるポイント(○合目)がこれまた良い、お陰で五合目まではテンポよく歩くことができた。




五合目の佐藤小屋に1時半に到着。佐藤小屋付近にはテントが沢山張ってあった。佐藤小屋付近は風よけが無いので寒い、小屋の片隅でフリースとオーバーパンツを着用して休んでいたがあまりの寒さに耐えられず、佐藤小屋のトイレに駆け込んだ。

何この天国・・・

ここは約半分の地点なので登頂予定時刻を計算してみる、馬返しから2時間だったので単純計算だとあと3時間で登頂できる。「5時前か・・・」あまり早く登頂しても日の出まで待機するのも困る。また上部の雪面状態も気になる、ガチガチのアイスバーンをヘッデンで照らしながら登るのは危険だ(アイゼンもまん丸で刺さらないし)。
この天国で仮眠を取って登った方がいいか、いやここで仮眠を取ったら爆睡しそうだ。小屋にお世話になるのも申し訳ない気持ちもあり、すぐに出発することにした。


外は寒かった。寒さに耐え次の目的に向かう、六合目通過、お次は七合目。
ここで異変発生。。佐藤小屋でエネルギー補給として無理して食べたアンパン(半個)がまずかったのか、胃の調子が悪い・・・ここまで普通のペースで距離もたいして歩いていないので、体力よりこの寒さが原因だろう。
朝方の放射冷却の時間帯が一般的には一番寒いと言われているが、私は1時くらいが一番寒いと感じている(テン幕をしていて必ず1時に目が覚めるのは寒さが関係しているのかも)。夜から体を冷やし続け、そして一番寒い時間帯に風のある六合目、そりゃ寒くて当然、胃の調子もおかしくなるのも不思議ではない。

そこに追い打ちをかけるように、『つづら折れ』が出現(平坦と無駄に長いつづら折れは苦手)。胃の不調は更に呼吸を乱し、体力を無駄に消耗していく。緩い勾配のつづら道なのに息が上がってしまう。あまりの辛さにジグザグの折り返し地点の度に倒れ込んで休憩する、それを繰り返しているうちに段々と眠くなってきた。
「ダウンジャケットを着て少し寝るか?」
震える程の寒さではないので(低体温症ではない)、寝ても問題はないが、それだと目的が達成できない(朝焼け鑑賞)。地獄のつづら折れさえ突破できれば少しは楽になるかもしれない、そう思い気合でこの区間を乗り越えた。


つづら折れを越え精神的には楽になったが、胃の調子は悪い。少し登って腰を落として休んでの繰り返し、綺麗な星空なのに景色を楽しむ余裕も無い。。

ダレながら登っていると、前方にヘッデンの明かりが見えた。寒さで心が寂しかったのか、自分以外に登っている人が居ることが嬉しく感じた。体力と気力が少し回復、「追いかけて話をしてもっと回復しよう!」
ヘッデンの明かりは2つ、2人組のパーティーか。その2人が休憩していたので途中で追いつくことができた。「おはようございまーす!」

「Hello」

外国の人か・・・これまでの辛い思いを詳細に語りたかったのに。。その2人はオーストラリア人で六合目にテントを張ってこれから登るとの事だった。

話していると1人が私にお願いをしてきた、「ヘッデンの電池が無くなって困っている」。私は予備電池を持っていたが、もし途中で故障した事を考え回答を躊躇した。しかし、遥々オーストラリアから来て登れないというのは悲しい、困ったときはお互い様という事で電池を渡した。
相手は「金を払う」と言ってきたが、私は「金は要らんあげるよ」と答えた。すると申し訳ないという気持ちからかお金の代わりにお菓子をくれた。
エネループ3本 ⇒ チョコレート菓子2つ ⇒ 「オーストラリアのお菓子2千円でどうですか?」 私はわらしべ長者にはなれなかった(帰宅してから食った)。

英語で意思疎通はできなくても居るだけで安心する。この先はこの人達の後を着いて行くことにしよう。ストーキングを始めるが、すぐにお先にどうぞと先を譲られる・・・君たちは六合目から出発しているのに何でバテてる私のよりペースが遅いのだ?予備電は無い、疲れているのにアイゼンは付けない、この人達大丈夫か?この先はアイスバーンかもしれないから危ないと注意はしたが、この状態だと滑落し兼ねないぞ(疲労困憊時のアイスバーン歩行は危険です)。

その後この外国人パーティーと再開することは無かった。
私が山頂から下っている時に登ってくる人が居たので、私はてっきり先の外国人と思い、「いい天気になったね」と英語で話しかけた。すると「何言ってんだコイツ?」という反応が返ってきた、お顔をよーく見てみるとまったくの別人(日本人)だった。。
先の外国人について訊くと、あの後グローブが風で飛ばされたらしく敗退したとの事だった(少し納得)。下山している時に他の外国人も数名登ってきたが、怪しい装備をした人がチラホラ居た(ワークブーツには驚いた)。観光気分で登るには冬富士はちと厳しいのではないか?それとも世界的に見れば楽な山なのかね?

(話戻る)先の外国人のヘッデンの明かりは遥か遠くに、寂しい気分からか寒さと疲れを感じてきた。八合目からは一面雪となるが積雪は少なく雪面も緩い、多少風はあるが飛ばれれる程ではない。緊張感もなく黙々と登っていたらまた睡魔が襲ってきた。
八合目付近で夜が明け始める。バテた時点で山頂でのご来光は諦めていたが、寒さと疲れでこの山行の目的をすっかり忘れていた・・・

ご来光タイム





山頂では無いがでも、この位の標高なら山頂の眺めと大差ないだろう。
新しい光に包まれ生命の息吹を与えられる、うつく・・・いや、あたたかい!ダメだ眠気がいっそう増してきた。。睡魔と闘いそして予定より2時間遅れて7時半に久須志神社に登頂した。



剣ヶ峰は一度登っているし、お鉢巡りをする気力は無い(眠い)。記念写真(カルピスウォーターと狛犬)を撮ってそそくさと下山した。3776mで飲むカルピスウォーター、キンキンに冷えたカルピスが五臓六腑に染み渡る・・・冷たすぎて胃が痛い。。やはり冬山はほうじ茶が一番美味い。



積雪があればサクッと下山できるのに八合目から下は雪が無く時間がかかる、六・七合目の地獄のつづら折れも雪があれば回避できるのにね(このつづら折れは二度と歩きたくない)。


ダラダラと下山していたら胃の調子が回復してきた。気温が暖かくなったからか、それともハイチュウが効果か(今回の行動食はアンパンとハイチュウ5個)。冬場はゼリー飲料が凍るから行動食には悩まさせる。今回お世話になったハイチュウは意外と優秀な行動食かもしれない。

行動食カロリー備考
スニッカーズ(1本)250kcal★☆☆お茶で流し込み
板・固形チョコレート(1枚)300kcal★★☆お茶で流し込み
ハイチュウ(1本:12個)230kcal★★★水分不要

佐藤小屋から下山している人(登頂せず雪訓をしていた人達)が居たので、馬返しから車に乗せてもらおうか考えたが、胃が回復して体力に余裕があったので富士山駅まで走る事にした(東富士五湖道路と交差する辺りで飽きたのでそこからは歩いた)。

今回は予定より遅れたものの一応登れたので満足している(予定では昼過ぎには帰宅)。目的の『富士山からの朝焼け』に関しては、綺麗だったけどもう少しプラス要素が欲しかった(雲海とか)。
最後に一言、「冬富士のナイトウォークは止めた方がいい」。今回は時期的に何とか登れたが、12月末には危険度が倍増する。ダウンなど着込んで完全防寒装備で寒さは凌げても、暗闇のアイスバーンは即滑落コースだと思う。


ルート評価


3点

富士山 吉田口ルート(積雪期)

景観  :★★★☆☆(3.5)
ルート :★★☆☆☆
体力  :★★★☆☆
アクセス:★★★☆☆


※冬富士は初冬・冬・春先で状態が異なります、この評価は雪が少ない初冬の評価です

景観は南側の吉田市の街や自然を望む事ができます。
特に印象に残っているのは山中湖の形で、その美しい姿に魅了されました。山中湖がリゾート地として開拓された理由は、この俯瞰した時の美しさも関係しているのかもしれませんね(河口湖の方は観光地らしい形をしていました)。
山の景観は悪くはありませんが、個人的には御殿場ルートの方が良いと感じました。地形は単純で目を引く対象物が少なく(御殿場ルートは宝永山が在る)、目に映る者は人工物ばかり。小屋は風除けとしてはありがたいが、ここまで多いと自然に浸ることができない。

ルートは全体的に悪く、六~七合目のつづら折れが兎に角キツいです。ダラダラと意味もなく長い距離を歩かされ、且つ勾配が緩いのに歩き難い(ザレ場)。
  • 【七合目~山頂】
    七・八合目からは雪面となり歩きやすくなる
  • 【五合目~七合目】
    このルートの核心部
  • 【馬返し~五合目】
    勾配が緩く歩きやすい(景観も良い)、ポイント(○合目)が多いので進行具合が確認できサクサク歩ける点が良い

アクセスは馬返しに駐車場があります。冬季はバスが運行していないので電車の場合はタクシーを利用。浅間神社から馬返しまでは「吉田口遊歩道」という道がありますが、登頂を目的とするなら無理して歩く必要は無いと思います(初夏~晩秋は良さそう)。



【備考】
九合目から久須志神社は急斜面なので、アイスバーンの時期(積雪期~残雪期)は注意が必要(特に下降)です。アイゼンを手入れし、強風時は撤退した方が良いでしょう。

各ルートの距離・標高・歩行時間の比較(シーズン期)


ルート吉田ルート富士宮ルート須走ルート御殿場ルート
出発地富士スバルライン五合目富士宮口五合目須走口五合目御殿場口新五合目
往復距離14km8.5km13km17.5km
標高差1450m1350m1800m2300m
登り時間6時間10分5時間30分6時間50分8時間10分
下り時間3時間30分3時間50分3時間20分4時間20分
込み具合★★★★★★★★☆★☆☆

初心者のための登山とキャンプ入門(引用元)

タイム


富士山駅(21:22)~中の茶屋(22:29)~馬返し(23:21)~一合目(23:46)~二合目(0:09)~三合目(0:24)~四合目(0:43)~佐藤小屋〈暖を取る〉(1:24)~六合目(2:13)~(つづら折れでバテる)~七合目〈花小屋〉(3:13)~八合目〈富士山天拝宮〉(5:34)~富士山頂〈久須志神社〉(7:39)~佐藤小屋(10:48)~馬返し(12:18)~富士山駅(14:21)

その他の写真


20151205


雪山にヘルメットは必要か?


雪山シーズン初めといえば山岳会などで雪訓(雪上訓練)が行われる、富士山はアクセスの良さから昔から人気があり、その日もヘルメットを携行したグループが大勢来ていた(この時期の富士山は雪が少ないから、雪訓をするなら北八ツか天神平に行った方が良い)。
訓練以外の登山者でもヘルメットを着用している人を数名見かけた。ヘルメット姿の人を見て私がいつも思うのは「偉い!」という事。

「山登りにヘルメットは必要か?」
「無いよりあった方が良い」


これは正しい答えだけど、用途を理解していなければその効果を活かすことはできない。ヘルメットが絶対必要な行為(場所)としては、
  • アイスクライミング(自然・人為落氷)
  • アルパインクライミング(自然・人為落石)
  • 自然落石が多い渓谷道
  • 人為落石が多いガレ場

では一般雪山ではどうだろう、ヘルメットで危険を回避できるケースを考えてみた。
  • 雪崩
  • アイゼンを引っ掛けて露出した岩に頭をぶつける
  • 滑落して突起物に頭をぶつける
  • どこからかピッケルが飛んできた
  • 変人にピッケルで頭を殴られた

こうやって状況を考えればその道具の必要性を理解できるのです。
因みに私はノーヘ○です・・・、そろそろ山岳警備隊に捕まり行政処分を受けるかもしれない。。
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