登山届の義務化について

最近登山届(登山計画書)の義務化の流れがあるが、私は賛成しかねる。そもそも管理側(地方自治体)に何のメリットがあるのだろうか?私が逆の立場ならそんな面倒くさい事は絶対にやりたくない。
登山届の義務化について
こないだの山行で登山届について問われたのでこの問題について少し考えてみた。初めは「何が義務化だクソ食らえ!」と反論しようと思ったが、よ~く考えてみると必要な気がしてきた、ただ安易な拡大は問題を生むので、慎重に吟味し自治体と登山者両方が納得する形で作って欲しいと願っている。

登山届の義務化と問題点


昨年の御嶽山の捜索活動が難航した事から、岐阜県は条例を定め昨年末に施行した。明日は我が身、他の地方自治体も大規模事故(災害)に備え条例を設けようと考えるのは必然の成り行きだ。
岐阜県の対応は理解できる、入山者リストさえあれば昨年中に捜索活動は完了していたかもしれない。しかし、この条例は一つの自治体で決めることではなく、メリットとデメリットを勘案し全体(国)で答えを出すべきだったと思う。

私は富山県や谷川の危険区域への入山など条例が定められている場合は登山届を提出するが、それ以外は基本的に出さない(家族にはルートを伝えている)。

冬季の北アルプス北部や谷川の危険区域は登山届の提出が必要だと思う。このエリアは個人のスキル(心技体)がどんなに高くても、それを超える危険(雪崩)がある。スキルが無ければ許可は下りないし、入山日が解れば対応も早くなる。

上記の様な危険エリアの条例は根拠がはっきりしているが、それ以外のエリアはどのような根拠で制定しているのか(していくのか)。

これまで登山届は機能していなかった。捜索活動は家族や遭難者から連絡があって始めているケースが殆どだ。ポストの回収頻度は低く、下山届も義務化されていないので只の紙くずと言ってもいいだろう。私は登山を始めた頃はポストに投函していたが、その内に無意味な事に気が付き以降は登山届を出さなくなった。

登山届には捜索活動の補助以外にもうひとつ意味がある。
それは計画書を書くことでルートを再確認し安全意識が芽生えるという事だ。しかし、現状は異なる。登山届の意味を理解せず義務的に提出を行っているから、計画書の内容は確認していない、そして提出すれば助けれくれるという勝手な考えを持つ人も居る。
お金を支払ったり、何かを義務的に行ったりすると人は見返りを求めてしまう。昨季の富士山のゴミの増加は入山料とも関係があると思う。
この対価の期待と安全意識の欠如は義務化されると更に顕著になる。義務的に登山届を提出させるという事はこのような弊害があるという事を自治体には理解して欲しい。

「施行したので守ってください」ではなく、『安全意識と自己責任』について啓蒙する事に重点を置き、その上で登山届の在り方を考えるべきだろう。その経緯で登山届を義務化したという事であればまだ納得ができる。

登山事故の発生が増加傾向にあるのは、安全意識の欠如なのです。事故を恥だと思う事、遭難者の会見のニュースを見て自分に置き換えて見てもらいたい。自分の力量を理解し安全意識を持ち、そして判断していれば、まず事故に遭う事は無い。安全意識と判断するスキルを持つ事が事故を減少させる一番の効果だと思う。

安全意識について


無計画で道をよく間違える私が『安全安全』と言うと説得力がないかもしれないが(イタタタタ)、私は適当だけど安全意識は高い。安全意識というかビビリなので危険察知能力に長けているという感じかな。この察知と判断のスキルは山行の中で多くの失敗をして身につけた。

私は今の安全登山の考えは好きじゃない。『しっかり計画して準備したら終わり』みたいな風潮はよくない、重要なのは山行が始まってからの安全意識と判断なのです。

「山は危険だ!」「山ナメんな!」という教えから、慎重になり失敗をしないように行動する人が多いが、私は失敗は沢山した方が良いと思っている、『失敗しないように』という意識は登山の楽しみを半減させている。
失敗しない事も大事だが失敗した時にどうするかというスキルを身につけて欲しい。人の失敗談は参考になるがあまり約に立たない、実際に自分で失敗すると論理的(全体的)に理解でき応用も効くようになる。
但し、事故になるような失敗は絶対にしてはいけない(危険察知)、軽く失敗して何が必要かを学びそして必要なスキルを会得する。あと、謙虚な気持ちで自分のスキルを過信しない事も大事です。

義務化の目的と2つめの問題点


安全意識が高くても、御嶽山のケースや落雷直撃や崩落といった予期せぬ事象を回避することは難しい(運)。これらは起きた後の対応を冷静に行うしかない。そして、安全意識と今回の義務化には何の因果関係もない。

御嶽山での捜索活動が難航した原因は入山者の身元が不明だったという事で、この不明者というのは登山届を提出していなかっただけでなく、家族にすら伝えていなかった人と予測できる。
計画を伝えていれば、家族の連絡から身元はすぐ確認できる。例えば高齢者夫婦が一緒に山行を行う場合、誰に計画を伝えているのか、住居の異なる親族に伝えるだろうか?また独り身で事情があって計画を伝えていない人は誰に気付いてもらえるのか?仕事を欠勤したとしてもその人の趣味も知らなかったら?
このような身元不明者が沢山居たことが遅れの原因となると、登山届は絶対に必要なものではないという事にもなる。

なら、事情がある人同士で掲示板を使って山行を管理すればいいんじゃないか?スレッド(計画)を立て下山したら『下山完了』を書き込む。下山連絡が無い場合は、その掲示板を利用している人が警察に連絡する。
問題点は面識の無い人間同士でどこまで対処できるかという事とサーバーダウン等でネットワークが使えなくなった場合の責任問題か。
では、どこかの会社が山行を管理する有料サービスを作り、24時間対応で山行状況をチェックする、これなら管理はできそうだ。

いや、それなら登山届を提出するのと変わらないような気がする。それに大規模事故になると家族の連絡を受けるのも時間のロスとなってしまう。そう考えると登山届は必要なものなのかもしれない。

登山届の義務化のメリットは『身元が解る』という事。救出すべき人数が把握できれば迅速な対応が可能となる、居るか居ないか解らない状態で何日も捜索する事は労力の無駄であり、二次災害の危険も含んでいる。

但し、それには徹底した管理が必要となる。登山届の義務化の2つめの問題は管理が大変という事。義務化して罰則を設ければ皆んなが提出をするか?それでも出さない人は居ると思う。
どうやって罰則を与えるか、完璧にやるには相当のコストがかかる。全ての登山口に常駐させて入山をチェックする?受付完了証をどうやって確認する?記述内容に虚偽ないかどうやって調べる?(嘘付く必要はないけど)
また、提出していない人を放置できるかという道徳的な問題もある。

全員提出は求めずある程度効率が上がれば良いという考えだと思うが、このまま中途半端な状態で施行されていくと、曖昧な対応に不満を持つ声も出てくるし(登山者の不満)、費用の無駄ともなってしまう(納税者の不満)。

条例違反について


富山や谷川でも条例を理解しながらも提出をしない人も居る、『何か遭っても助けは必要ないという自己責任の意識』から提出をしないケースか面倒くさがり屋のどちらかだ。

私は前者の考えで助けを必要としていない(考えであって危険区域は提出する)、これは本当にダメな時は諦めるという考えだ。ただこの考えは自分勝手とも言える、もし雪崩で亡くなったとしても、下山連絡がなければ家族から依頼され捜索が行われる。結局は人様に迷惑を掛けているという事になる。
家族に伝えていない場合も同様で、春先にデブリから遺体が発見され、回収作業や身元確認等で警察の手間をかけさせる事になる。

だから絶対に事故は起こさない!危険な場所には近づかない!という意識が必要です。それでも冒険がしたい人は、なるべく迷惑にならいようにしてください(ダメとは言えない、私も冒険者なので否定は出来ない・・・)。

登山届の義務化とその方法


捜索の合理性だけというメリットに不満はあるが、条例違反をすると罰金5万円も払わなければならないので、今後は条例に従うことにしようと思う(50円なら違反しても・・・)。
近い将来、全ての山域で登山届の提出が義務化される可能性はあるし、捜索側の立場で考えると仕方ないし、抗う必要はないかな。

但し、登山者が納得できる仕組みを作って欲しい。私の希望は以下の通り
  • ポストを撤去して受付はオンライン限定にする
    ネット環境が無い人は郵送か直接管轄の警察署に届けるか登山指導センター
  • オンラインサービスは一元化する
    窓口を固定して利用者・自治体の負担を減らす。計画書は簡易式で[名前] [ルート] [日程] [緊急連絡先]に任意で備考くらいの項目。更新可能(転進時や延長時)
  • 下山連絡も義務化
    オンラインで簡単処理。オフラインの人は警察に連絡。警察は下山予定日から2日経ったら捜索開始(家族の連絡があれば即対応)
こんなもんかな、正直これでも私としては面倒くさいけど。

オンラインサービスの一元化は
現在、公益社団法人日本山岳ガイド協会が運営しているオンライン登山届サービスの『山と自然ネットワーク コンパス』で統一する方向でいいんじゃないかな?(使ったことないけど)
営利を目的としない公益法人だし、1971年設立という歴史があるし、ガイド協会なので山に超詳しいし。他にもオンラインサービスがあるかは不明だが兎に角一つの所に集約してもらいたい。
このコンパスは、ガイドサービスが併記してあるところが問題点かな。登山届だけのサイトにしないと見にくいしサービスの斡旋やら広告等も問題になる。国が管理してもOKだけど、サーバーダウンしないように保守をしっかりして欲しい。
あと、登山届の管理機能以外にルート状況を書き込めるようにすると、注意喚起にもなるし、利用するメリットが大きくなるかもしれない(操作性重視でなるべく機能は増やさない方がいい)。

各地方自治体(警察)の登山届に関する事項(条例や提出方法)


岐阜県が条例に指定した対象エリアは北アルプスと御嶽山で
  • 活火山の御嶽山と焼岳周辺
  • 笠ヶ岳~樅沢岳~槍ヶ岳~奥穂~西穂は12/1から4/15まで
  • 西穂~奥穂間・滝谷・穴毛谷の危険区域は通年
と活火山以外のエリアにも及んでいる。
危険区域が通年となっているのは、西穂奥穂間のでの事故が多発しているからだろう。しかし、この区間はバリエ-ションなのにスキルを持たない初心者が縦走している事が問題であって、いっその事通行禁止にした方がいいと思う(登山届では意識は変わらないし)。それか『ここから超危険エリア、マジヤバ度MAX!』とかドクロマークの看板を作るというのでもよい。

今後条例が制定されるエリアとしては、先ずは活火山で北海道や那須・浅間辺りかな。次にバリエーションや破線ルート関係、クライミングギアが不要のバリエーションは対象となる可能性が高い。

そして、積雪期限定という期間が通年となる可能性も十分高い。ここが分岐点となり、これが制定される前に安全意識の向上(啓蒙)とインフラ構築(オンライン窓口)の2点をクリアしていないと、事故多発だけでなく人口減少という結果を招く恐れもある。

今後のために各都道府県のリンクを貼っておきました。今後★が増えるのだろうか?それとも岐阜県だけで終わるのか?「え?ウチしかやってないの?じゃあ、やめるか」という事もあるかも。富士山が義務化できない事を考えると活火山の義務化も進まない可能性もある、観光収入を優先するか、捜索効率を優先するか、色々と問題がありますね。

都道府県リンク提出の義務
北海道北海道警察
青森県青森県警察 該当ページなし
岩手県岩手県警察 該当ページなし
宮城県宮城県警察
秋田県秋田県警察
山形県山形県警察
福島県福島県警察
茨城県茨城県警察
新潟県新潟県警察
栃木県栃木県警察
群馬県群馬県警察 Link2
埼玉県埼玉県警察
東京都警視庁 該当ページなし 青梅警察署
千葉県千葉県警察 該当ページなし(納得)
神奈川県神奈川県警察
山梨県山梨県警察
静岡県静岡県警察
愛知県愛知県警察
長野県長野県警察
岐阜県岐阜県警察
富山県富山県警察
石川県石川県警察
福井県福井県警察
三重県三重県警察
滋賀県滋賀県警察
京都府京都府警察
大阪府大阪府警察 該当ページなし
奈良県奈良県警察
和歌山県和歌山県警察
兵庫県兵庫県警察
鳥取県鳥取県警察
島根県島根県警察 該当ページなし
岡山県岡山県警察 該当ページなし
広島県広島県警察
山口県警察 該当ページなし
徳島県徳島県警察(PDF)
香川県香川県警察 該当ページなし
愛媛県愛媛県警察 Link2
高知県高知県警察
福岡県福岡県警察
佐賀県佐賀県警察
長崎県長崎県警察
熊本県熊本県警察
大分県大分県警察
宮崎県宮崎県警察
鹿児島県鹿児島県警察
沖縄県沖縄県警察 該当ページなし(納得)

※★は特定の期間や場所に限る
※オンライン窓口の有無は調べていません(リンク先から確認できます)
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