南アルプス 九人のラッセラー(甲斐駒ヶ岳) by 車

昔、甲斐の駒ヶ岳に登る複数のパーティーがおったそうな。彼らは同日に入山し翌日山頂を目指していました。ところが山頂までの登山道は昨夜の風で雪に覆われてしまったのです。
南アルプス 九人のラッセラー(甲斐駒ヶ岳) by 車
「はてさて困ったものだ、仕方ないラッセルをするか」
一組のパーティーがラッセルで苦闘していると、後ろから他のパーティーが追いついてきました、そしてまた他のパーティーがきました。その数はどんどん膨れ上がり何と9人にもなったのです。
集まった人達は道を切り開いている姿に引かれ、ラッセルを交代しました。そして皆んなで協力しついに山頂にたどり着く事ができました。そこにはこれまでと違う大きな喜びがあったとさ。~おしまい


昔話し風に書いてみたが、今回の山行でこんな美談があった。でもこれは当事者に聞いた話で私はこの9人には含まれていない。共同ラッセルの楽しさについて先日記事にしていたので、それが実際に聞けて嬉しかった。

そして驚くことにこの9人全員と私は話をしていたのだ(登頂後は皆んなバラバラに行動していた)。全員ともテンションが高く笑顔が印象的だった。当日天気が良かったせいもあるが、この共同ラッセルによる感動が残っていたのだろう。

きっかけは私のおバカな行為に対して興味を持ち話しかけてくれた。そこから今日の出来事について話を聞いていたら、皆んなラッセルの事を言っていた。そしてそれに対して感動したと口を揃えて言っているのだ。

私はラッセルをしていないが(ただのラッセル泥棒)、共感から自分もそれに参加したような感覚になった。
もし私がその場に居たら、多分一人で切り開いていたと思う。それまでのトレースに対する感謝の気持ちから無理をしてでも頑張ってしまうだろう。でもそうなると共同ラッセルによるこの感動は生まれない、私が遅れて登場した事は皆んなにとって良かったという事になるな(邪魔者みたいで複雑な気持ちだ)。

クライミングをしている男性、ハセツネに出場した男性、この感動話を詳しく教えてくれた女性、西穂から転進しラッセルをしまくった3人PT、変わり者の私の話を理解してくれた3人PT、皆さんのラッセルのお陰で楽に登る事が出来ました。そして素晴らしい話をありがとう、その笑顔にとても癒されました。

山行計画


丹沢をぐるぐる回ろうと考えていたら、甲斐駒が割り込んだ。実は今回は『甲斐駒 vs ピグモン』というタイトルにする予定だった。

今季購入した雪用トレランシューズはとても気に入っている。靴が気に入ってくるとサロモンというブランドも好きになってきた、サロモン・・・ピグモンみたいで可愛い。このシューズは赤色だからまんまピグモンだ。これからはスノークロスではなく、『ピグモンさん』と呼ぶことにした。

このピグモンさんのポテンシャルは高い。
「この子なら3000メートル級を登れるかもしれない」そんなアホなことを考えてしまった。
『トレイルランニングシューズの限界点を超える』
これが今回のガチャピンヤマラチャレンジシリーズのお題となった。

3000mクラスといっても北アルプスは寒さで100%無理、中央アルプスも木曽駒(ロープウェイ)以外は雪が深い、そうなると南アルプスしか選択肢がない。ワンデイが可能で雪が少なめでトレースがしっかりしているとなると、該当する山は甲斐駒しかなかった。

といってもさすがに2967mの山、なめたらあかん。通常装備だと頼りないので以下の点を変更した。
  • 軽量ジェケット ⇒ ハードシェルジャケット
  • 軽量パンツ ⇒ ゴアテックスレインパンツ(オーバーパンツは運動の妨げとなるのでやめた)
  • 中厚グローブ ⇒ オーバーグローブを追加
  • トレラン用靴下 ⇒ 厚手のウールソックス
  • トレラン用ザック ⇒ 防水生地の軽量ザック
インナーにフリースを追加、緊急装備にシュラフカバーを追加(ツエルト・マット無し)、ピッケルとチェーンスパイク(ストック・スコップ無し)
※積雪期の黒戸尾根は走れるルートではありません、今回は標高テストということでトレランシューズを履いています(黒戸尾根は冬靴を履きましょう)

【結果】
しっかりトレースと超快晴という好条件のお陰で特に問題なく登れた。しかし、悪天候なら間違いなく凍傷になる。
この限界テストは意味が無かったかもしれない。『天候・気温』と『積雪(ラッセルの深さ)』『地形(風)』がポイントで、2000メートルに満たない場所でも3つの悪条件が整っていれば凍傷の危険がある。大切なのは状況の見極めで、違和感を感じたら対処して戻る、雪山はなめたらあかん。

あと、チェーンスパイクは急登に弱い事を痛感した。八合目御来迎場の付近のルンゼの下降が効きが悪く怖かった(慎重にクライムダウン)。

ルート



距離:16.882km
累積標高(+):2528m
累積標高(-):2528m
※GPSデータはカシミールで作成

山行記録


距離は片道8kmなので多少のラッセルでもワンデイで行けそうだ、前回秋に登った時は特に危ないと感じた所はないので難所もないだろう。
それでも3000m級なので一応ヤマレコで山行を調べてみたら、日帰りでも意外と時間がかかるようだ。念のため早めの5時に駐車場を出発した。


三年半ぶり3回目の黒戸尾根、ルートの詳細は記憶に残っていない。まだ日が出ていないのでルートが良くわからない、トレースが無かったら迷いそうだ。
尾根までは凍結していて歩きにくい。チェーンスパイクは付けるのが面倒なのでそのままで登った、ピグモンさんの鋲はこの様な凍結路では役に立つ。それにしても真っ暗な樹林帯歩きはツマラナイ。朝日で徐々に明るくなり始める。

その時に撮った写真がミニチュアっぽく写っていた。


昨夜は満点の星空、そして眩しい朝日、今日は超快晴の山日和となった。森林限界以上でこの『日の出タイム』を迎えられたら素晴らしい景色が見られただろう。しかし、樹林帯も悪くない。光が差し込み赤く染まる木や雪、やさしく包み込まれるような景色は樹林帯でしか感じられない。




刃渡りを過ぎ急登を登ると刀利天狗に着いた。ここから黒戸山を巻いていくと甲斐駒が姿を現す、「美しい・・・美しすぎる」やはり甲斐駒の山容は素晴らしい。


五合目小屋跡の所がこのルートで唯一下る箇所でそれ以外はず~と登り調子となる。そして五合目小屋跡からは梯子や鎖場が多くなる(7m位の垂直梯子が怖い)。
四時間弱で七丈小屋に到着、バッチリトレースのお陰でスムーズに登ることができた。序盤はトレースがあったのでもう少し早く到着できると思っていたが黒戸尾根は甘くはなかった、このルートは下りや平坦が少ないので筋力を休める事(回復)ができない、緩い登りでも長く続くと疲労が蓄積され、やがて失速していく。


五合目から雪が増え、七丈小屋からは更に深くなる。しかーし!トレースはバッチリあるのだ(*´∀`*)
手を合わせトレースに感謝して登っていると、上から登山者が下りてきた。そしてその後も続々と登頂した人が下りてきた。この人達が『九人のラッセラー』である。その時は挨拶程度で下山時に各位ゆっくりと話をした。


八合目御来迎場からは森林限界となるので、ここでチェーンスパイクとピッケルを装着し、グローブはオーバーグローブに交換した。


赤石沢奥壁が美しい、この景色だけでご飯三杯はいける。


聖剣エクスカリバー(二本の剣)から頂上までは目と鼻の先と思いきや、まだ先がある。最後に軽く巻く所は不安になる、その先のピーク(駒津峰)が山頂だったらどうしようと思ってしまう(前もそんな事思ったような気がする)。そして山頂に到着した(手前のピークでした)。

こみ上げてくる熱い想いで涙腺が緩んでしまった。正月の北岳でも感じたこの感情は何なんだろう?特に難所も無く体力的にも余裕があるのに、完全燃焼したような達成感がある。体が何かを求めているのか?もっと過酷で冒険的な山行をしたいのか?
「いや!ぼく危険なのきらい、たのしい山行しかしたくない」


山頂の景色が素晴らしかった。今回のパノラマモードは綺麗に撮れた気がする。



山頂ノーマル写真



次回こそはあの剣の一本を抜いて持ち帰ろう。ヤフオク『甲斐駒の剣』現在の価格 15,000,000円


下りは多くの人と話をした、9人以外の人とも話をしてトータルで一時間は話をしていた。
トークタイムは疲れを癒してくれる。普通に休憩していても体力は回復しないが、人と話していると何故か体力が回復する。そして楽しそうに話されると回復度は更にアップする。楽しそうに話されると私も楽しくなってしまう、それがパワーとなり気力や体力を回復してくれる。

話をしていたら足筋も回復し走れるようになった。でも下りも平坦の巻き道もトレースはあれどバランスが悪く意外と走れる所が少なかった。

今回も無事に下山できた(*^_^*)
竹宇駒ヶ岳神社でお参りした効果があったようだ。


南アルプス 甲斐駒ヶ岳(黒戸尾根)積雪期

景観  :★★★★★
ルート :★★★★☆
体力  :★★★☆☆
継続性 :★★☆☆☆
アクセス:★★★★☆
総評:excellent


【注意点】
  • 取り付きから尾根までは常時凍結しているのでアイゼン必須です。
  • 梯子が多いのでアイゼンの引っ掛けには気をつけましょう。ストックは邪魔になるのでピッケルのみ携行した方が良いかもしれません。
  • 八合目御来迎場の先に尾根の脇を登る所があり、この溝(ルンゼ)が急でイヤラシイです。ロープや鎖が無く足場が崩れるとそのまま谷へ落ちてしまうので、通過には注意が必要です(特に下り)。
  • ワンデイはトレースありきなので、トレースが埋まっている事を前提に一泊二日の日程とした方が良いです。初日に五合目か七丈小屋(通年営業)を利用、翌日は早い時間に出発すれば景色の開けた場所で感動的なご来光を拝む事ができます。

景観は非常に良いです。刀利天狗までは展望は殆どありませんが、黒戸山の巻き道から甲斐駒が姿を表し、その先は甲斐駒と周辺の山々の景色を楽しむ事ができます。山頂の眺望が特に素晴らしい、中央から北アルプスへ続く白い帯、仙丈・北岳・鳳凰とその後ろの富士山、八ヶ岳も美しい。

ルートは上り調子の2500mアップなので疲れます。五合目まではダラダラとした登りで面白みはありませんが七合目からは景観も相まって気持ち良いルートとなっています(アップダウンの無いスッキリルート)。梯子や鎖場と急な登りが多く、異常な降雪の場合はロープが必要になるかもしれません。

甲斐駒からの継続は鳳凰三山くらい?仙丈に登るなら戸台から入って北沢峠をベースにした方が良いでしょう。

タイム


尾白川渓谷駐車場(5:00)~竹宇駒ヶ岳神社(5:04)~刃渡り(7:15)~刀利天狗(7:30)~五合目小屋跡(8:10)~七丈小屋(8:45)~八合目御来迎場(9:31)~甲斐駒ヶ岳(10:39)~八合目御来迎場(11:21)~七丈小屋(11:36)~五合目小屋跡(12:12)~刀利天狗(13:01)~刃渡り(13:18)~竹宇駒ヶ岳神社(14:34)~尾白川渓谷駐車場(14:39)

その他の写真


20150125

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