山との一体感とは?

前回の山歩き講座で山との一体感について軽く説明しましたが、その後その行為について気になったので少し考えてみました。
山との一体感とは?
一体化するという行為は言葉で表すと抽象的になってしまう(感覚的表現)、論理的な表現をするには心理学や脳科学を学ぶ必要がある。
しかし、心理学に興味は無いし(興味ゼロ)、感覚を言語化する事には抵抗がある。音楽もそう、「かっこいい・きれい・うつくしい」単純な表現が一番しっくりくるのに、難しい言葉を使って無意味な表現をする(結局同じような言葉を並べるだけ)。
論理的な説明はできませんが、自分が感じた感情を書き連ねてみたいと思います。

『自然との一体感』という言葉はよく耳にしますが、その定義は曖昧です。『自然の中でリラックスした状態』を一体感と言うことが一般的である。
しかし、その解釈は違う気がします。リラックスした状態から次に起こる現象(症状)で自然と繋がる様な感覚を『自然との一体感』と言うのが正しいと思う。

2つの解釈があるとややこしいので、一般的なリラックス状態を『自然との一体感』、私がこれから述べる状態は『自然との同化』と表現することにします。
この同化という言葉は「くっつく・混ざり合う・吸収される」という意味があります。大まかに表現すると「山とくっつく・山と混ざり合う・山に吸収される」という感じですかね。

同化までの経緯


この感覚の前に、先ず私がどのような経緯で山と同化するようになったかを説明します。私は山を始める前から、『自然との同化』に興味を持っていました。
ある映画を観て「自然と人の関係」について学びました。

私の人生のバイブルである映画『ハートブルー』(原題 Point Break 1991年アメリカ)、この作品は爽快アクションが売りのアクション映画ですが、実は心に訴えかけてくるディープな内容の作品です(観る人によるかも)。
衝撃的な内容と映像の美しさに魅せられ何度も観返した。そして、登場人物に惹かれ尊敬の念を抱くようになった。自然と人との関係を追求し真理を探求する者、その信念に惹かれる者、肥大化した集団はやがて暴走し自滅していく。

サーフィンを題材としていますが、海が好きな人意外でも楽しめます。
この映画のサーフシーンは海との同化がよく表現されています。しかし実際はサーフィン(ショートボード)やクライミングは自然に同化するというより、自然に抗い自己を表現するという行為だと思います。

この映画のワンシーンに、自然との同化を解りやすく表現したシーンがある(ナイトサーフィンのシーンも)。飛行機で空に飛び立ちそこからダイブする、スカイダイビングシーンだ。

Point Break - Skydiving Scene(フルスクリーン推奨)

このシーンは特に印象的だった、何度も観ている内にこの様な感覚を自分も体感したいと思うようになった。
一人がこの行為を「大地とのセックスだ」と表現していた。それほど気持ち良い行為なのか、私も大地とSEXをしてみたい!そして、スカイダイビングをやってみた。しかし・・・

一体感や同化は得られなかった

映画と日本のスカイダイビングができるロケーションの差もありますが、映画のような状態になるには相当の経験が必要です(リラックス状態)。バンジージャンプも似ているのでやってみたのですが、疲れるだけで期待した感覚は味わえませんでした。。

以来自然との同化を求めることは無くなった(諦めた)。時は過ぎ、山と出逢う。何度か登っている内に、自然との同化を感じるようになった。
初めは景色に対して感動していた(アルプスばかり登っていた)、雄大な景色は同化に近い感覚を引き起こす、稜線や谷筋に引き込まれる感覚は同化している様に感じた。しかし、これは『視覚的同化』という表現が適切で、これから述べる『感覚的同化』とはまた異なる現象です。

それからクライミングに傾倒し、山の見方は変わっていった。クライミングの感情は壁を美しいと感じ、その壁を制覇したいという気持ちになる。
実際に取り付くと美しさは消える(富士山と同じで遠くから見ると綺麗に見える)、目の前に現れる壁は威圧感があり恐怖すら感じる、人間を拒絶し排除しようとする自然、それを乗り越えた時に起こる達成感。
クライミングで同化を得ることは難しい、そもそも前提のリラックスした状態になる事ができない、ちょっとした気の緩みが墜落を招く。

クライミングをやめ、ハイキングを楽しむようになり、フィールドは高い場所から低い場所に変わっていった。ここで『感覚的同化』を体感するようになった。

今でもクライミングには興味を持っているが、休止しハイキングに変えたのは結果的に良かったと感じている。クライミングを変な方向に突き詰めた結果、事故を招き心が折れてしまった事が、自分と山の関係を改めて考えるきっかけとなった。

私にとって山とは自然と触れ合う場所であって、自然とより深い関係を持つことが、私が山に登る理由になります。その追求の一つの形が「大地を感じる・山とつながる」といった自然と同化する行為なのです。

感覚的同化とは?


歩き方講座で書いた通り、まだ解明できていません。
とりあえず、無意識である事が前提条件です、意識を持てば持つほど離れていく磁石のような奴なのです。

もう一つの条件は『動いていること』。
例えば、山のある地点で瞑想を行う、お香をたてるなどリラックスの状態を作るか合法ドラッグでトリップすれば近い感覚を得ることはできるだろう。
しかし、それは自然との同化とは違う、自宅や安全な場所で行うほうが効果があるあろうし、敢えて自然の中で行う必要はないでしょう、テン泊で星空を眺めながらだとアリかも?いや、自然を絡めるなら家で自然の映像を大画面で眺めて瞑想すればいい。
自分本位に同化するのではなく、自然と対話しながら同調し同化していくのが正しい同化方法です。静と静が混ざり合うのではなく、動(人)と動(自然)が混ざるのが重要なのです。

その為にはアクションが必要です、リラックス(無意識)+アクション(運動)+αが同化に必要な条件という事になります。
このアクションで一度気分を高揚させるのが第一段階となります。
無意識で高揚するというのは矛盾していますが、ここで言う無意識というのは雑念のない状態でその場に集中している事を指します。雑念を消してその場に居ることで、普段見えないものが見えるようになります。

私の高揚させる方法は『音楽を聴く』か『走ること』です。
音楽はノリが強い曲だと攻撃的な高揚感になってしまいます、これは自然度外視で音楽にハマっている状態なので同化は得られません。強すぎず弱すぎず心地よいリズミカルな曲だと、ナチュラルな高揚感を得られます。曲調は個人差があるので好きな音楽がいいと思います。

音楽より簡単なのは走ることです。走ると言ってもガチ走りではありません。ゆっくりと心肺に負荷が掛からないスピード(ジョギング)で走ります(歩きや早歩きでは効果は得られ難い)。
ロードマラソンはやった事がないのでよく解りませんが、ランナーズハイの状態に近い感じだと思います。但し長い期間走る必要も無く、苦しさから多幸感に変わるという行程もありません。数分も走っていれば高揚状態に陥ります。

ポイントはリズミカルに走ることです、一定のリズムを作ることで高揚感そして無意識の状態も維持できます。高揚感を得た状態まで来ればあと一息です。
飛行機で例えるなら滑走している状態です、あと翼を動かせば離陸できます。

気持ちが高揚し一定のラインを保ち続けていると、徐々に同化現象が始まります、周りの景色に引きこまれ、交わり合う感覚に陥ります。「これが山とのセックスだ」

症状が強い時は、高揚した気分が一気に落ちる様な感覚が生じます。落ちると言っても落ち込むとか暗い気持ちになるという事ではなく、心が別の次元に移動する様な不思議な感覚です。
完全に自然と同化した状態はとても心地よい気分になります、しかし長くは続かず現実に戻されてしまいます。

私の場合は、たぶん無意識にこの状態を制御していると思います、この状態が続く事は危険と判断しているのでしょう。主の目的である山との同化より、絶対に事故に合わないという自己ルールが優先され制御しているように思える。
今まで大きな事故を起こさなかったのはこの保守的な性格のお陰だが、保守とはスペシャリストになれない資質でもある(ToT)

同化する場所


山ならどこでも同化できるということはなく、なり易い場所となり難い場所があります。

【同化し難い場所・シチュエーション】
・夏。暑くてそれどころじゃない(早朝ならOK)
・人が居る所。性格によるかも、私は人がいると気になるタイプなのでダメです
・危険な場所。同化している場合ではありません、安全意識を持ち通過しましょう
・絶景。視覚が感情を支配してしまう
・急登。激しい消耗と、どの位この登りが続くのか?という意識などリラックス状態になれない

時間帯は早朝はかなり同化し易いです(5~9時位)、快適な気温と自然の雰囲気(静けさ)でイチコロです、特に朝焼けはリラックス状態に陥りやすいです。

時期に関しては『紅葉シーズン』『雪山シーズン』は同化し難い。
紅葉は情熱的な色合いで嫌でも目に付く、視覚による高揚効果はあるが、美しいという感情が邪魔をしてしまう。
花も可憐さで人を魅了させる、私は花には興味が無いので基本スルーしているが小林幸子ばりの主張している花はどうしても目に入ってしまう。

私はこれらの一部が主張した景色より、全体が単一の色で構成されたシンプルな景色を好む。この主張しない景色(世界観)が心情を落ち着かせ同化へ誘う。
雪山は楽な状態で歩けないので、無意識な状態になり難い。但し場所によっては同化に適した場所も多い。
新緑の時期も眩しい緑は主張し過ぎている(大好きだけど)、紅葉前・紅葉後辺りが時期的には一番適しているかもしれない。
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コメント

おもしろいーーー、読み込んじゃいました。
歩く⇄キック
想念⇄音声、フレーズ
目に入ってくる景色⇄うわもの・・・あまり流麗じゃない方がいい?
そんなかんじで歩けたらなーと想像しました。でもきっと基礎体力いる。

たぶんクラシックはダメだな。
山初心者はシンプルなよつ打ちがいいのか。歩調とbpm、別に合ってなくても良さそうだけど、ジリジリしそうです。
山と音と身体と精神ととけ込んだら最高ですね。
今いろんな山行スタイルありますけど、そういうの現行でないですね。
ひっそりやってても人と共有できないものなのか。。。
音楽については個人差があるので好みになりますかね

私は自分の好きな音楽を無理に結びつけているだけなので
個々の山に対するイメージと音楽に共通点があれば
どんな曲調でもいいような気がします

(でもベース・ミュージック推しです)

四つ打ちはリズミカルだけど、単調すぎて高揚感は得られ難いかも
クラシックは止まって聴くなら効果ありそうですね
クラシックは聴かないので解りませんが
激しい抑揚は動作に影響しそうだけど
静かな曲は舞うように歩くと楽しそうですね(バレエかよ)

音楽を聴きながら山を楽しむというスタイルは非難されそうですよね
実際イヤホンを付けた登山者やハイカーは「ムスッ」として
無愛想な感じの人が多いです
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