山の歩き方

今回のヤマラ講座は歩き方です。歩幅やペース、休憩などの歩行に関する基本と応用についての説明です。基本は『ゆっくりたのしく』です。
山の歩き方
私は、登山を始めて間もない頃はよくバテていました。せっかちな性格なので序盤からペースを上げ、途中でバテるのがいつものパターンでした。死にそうな私を心配して声をかけてくれる人、「山は優しい人が多いなぁ(涙)」と山登りのもう一つの魅力を知る機会にもなりました。

失敗を繰り返している内に、歩き方やペース配分を覚え、体力も付いてきた事でバテることは少なくなりました。但し『重い荷物』は苦手です、、雪山の20キロオーバー(前は25↑)だとほぼバテます。普段の軽装備とのギャップから体が拒絶反応を起こすのが原因です。『軽量化』の唯一のデメリットは「重い荷物を背負えなくなる」事です(軽量化については別の記事で説明予定)。

雪が無ければペースを調整することは可能ですが、雪道はバランスを取ったりラッセルを強いられたりと、体力の奪われ方が変則的でペースを一定に維持するのが難しい。
極限までペースを落とせばバテは回避できますが、ペースが遅すぎるとリズム感が無くなり、山を感じる事に影響してしまいます(テンポよく気持ちよいペースで歩くと一体感を得られやすい)。

こんな記事を書いておいてなんですが、歩行方法やペースは人に学ぶというより、自分で歩きながら学んでいく方がいいと思っています。
一般的な手法が正しいとは限りません。それらの方法を鵜呑みにして体得するより、「こうかな?」「あれかな?」と模索しながら自然に身につけ、自分の歩き方を作っていった方が楽しいと思います(応用力も身につく)。

身につけ方は、始めは歩き方を意識し、何度か山行を行えばその内体が覚えてくれるようになります。なるべく無意識の状態で歩くことを心がけましょう。『無意識歩行』も歩行技術の一つです、この状態で歩くことで山をより感じとる事ができます。
私が一般登山道を好きな理由は無意識で歩けるからです。バリエーションやルートファインディングが必要な複雑なルート、通過困難な危険箇所は、無意識で登れないので、あまり好きではありません。
しかし、この様なルートは想像力を働かせ、別の意味で楽しませてくれます、通過できれば達成感も得られます。毎回だと疲れてしまうけど、たまにはこのようなシチュエーションも必要です。

歩行説明の前に、大大前提として山歩きは負荷をかけて苦しい状態で登るものではありません。余裕を持って歩くことで、楽しい気分を味わえるのです(それでも苦しい時はあります)。短時間で目的地に着くことに意味はありません。ある区間をタイムを意識して30分で歩く事と1時間かけて楽しみながら歩く事では、後者の方が価値のある山行なのです。
8mara Walking

ヤマラ講座は、私の経験から感じたことを書き記しています。その為一般的な情報とかけ離れている事があります。説明内容に関しては主観的な情報として参考程度に読んで下さい

歩き方


歩幅


歩幅は短く細かくが基本です。
山歩きは地味です。『歩幅を広げ歩数を少なくする』『短い距離で効率良く進む』等、横着はせずに一歩一歩ゆっくり進みましょう。
歩幅を広げると、心肺と筋力の疲労度が上がります、その場は問題がなくても長く無理をすれば、バテにつながります。
ちょっとした段差も無理せず細かいステップを心がけましょう。ハイステップ(足を高く上げる)は足場がない場合のみ使いましょう。

例外として、雪道のラッセルは深さによっては幅を広くする事があります。膝下なら通常の歩幅、それ以上はラッセル自体相当の体力を消耗するのでできるだけ少ない回数に抑えるために歩幅を広げます(胸クラスになると広げたくても広げられない)。

足の置き方


足はべったりと全体で踏むように置くのが基本です。踵から着地して爪先というイメージで置く(イメージなので実際はほぼ同時に全面を着地させる)。
フラット歩行は、全ての場所で有効な歩行方法です(岩場の細かい足場を除く)。この基礎がしっかりと身についていると雪上歩行やアイゼン歩行も楽に行えます。

フラットにすることで、滑ったり足をくじいたりする事を回避できます。また足の疲労の軽減にも効果があり、疲れ難く長時間の歩行を行うことができます。
ゆっくり丁寧に置けば滑落することはまずありません。

安全面や体力面で優れている歩行ですが、もうひとつ別の効果があります。
「地面を踏みしめ足の裏から大地を感じる」これがフラット歩行の最大の効果です(最大はウソ、安全面が第一)。
この効果は、ソールの厚い登山靴やトレッキングシューズより、薄くて軽いトレランシューズの方がより多く得られます。私はトレランシューズを走る人以外にも薦めています、それはこのシューズが『気持ち良く歩く』事に適した構造だからです。

【軽さ】 これは足の負荷軽減と、軽快に歩ける気持ち良さの効果があります
【ローカット】 足首の可動範囲が広がる。一般的にハイカットの方が安全性が高いという認識がありますが、実はローカットの方が安全に歩けます。足首を稼働させる事で接地面を的確に捉えることができます(足首が固定しているとべったりとつけられない事が多い)

足首の保護という点では、ハイカットの方が優れています。但し正しい歩行技術を身に付ければ足首を痛めることは殆んど無くなります。
逆にハイカットを履き保護された状態だと、足の置き方は雑になります(膝の負担にも影響します)。足首をくじかないように丁寧に置く、何度か繰り返せばこのスキルはすぐに覚えられます。
デメリットは、この2つの靴はそれぞれ歩き方が異なるので、ガチの雪山は冬靴(ハイカット)、それ意外の山ではローカットと使い分けると混同して違和感を感じる事があります(大きな問題ではない)。

あとトレランシューズの方がグリップ力は劣る(気持ち)ので、気になる人はローカットのアプローチシューズ(グリップ力は最強)がオススメです。
シューズの話はさておき、フラット歩行の効果を活かすにはローカットの方が良いという事です(ソールは薄ければ薄いほど良い)。

※『トレランシューズのススメ』に関しては【装備編】 『アイゼンワーク』に関しては【雪山編】で詳細を説明予定

ジグザグ歩き


ジグザグ歩行(つづら折り)も大事な歩行技術です。平坦や緩勾配は真っ直ぐに登山道が伸びていますが、勾配が強い登りは傾斜を殺しながら進むのが基本です、富士山を最短距離で登ったら相当キツイでしょう。
右に左に蛇行しながらゆっくり高度を上げていくと楽に登れます。


【登山道で出現するモンスターと対処法】
・雪渓(レベル1):イチゴシロップで食しましょう
・藪こぎ(レベル1):長袖長パンなら特に害はない、ハイマツ藪漕ぎはラスボス級
・ガレ場(レベル2):浮石を踏まないように体重をゆっくりかけましょう
・梯子(レベル2):壊れるかもしれないので速やかに登りましょう(下りも)
・鎖場(レベル2):なるべく鎖に頼らず足に重心を乗せるようにしましょう
・階段(レベル3):なるべくシカトして別の道を歩きましょう
・濡れた木の根(レベル3):すっごい滑るよ
・帽子を脱がす枝(レベル4):相手の挑発に乗らない、しつこい場合は粛清しましょう

岩場の下り、段差の大きい下りでは手を(お尻)をついて慎重に下りましょう
転倒する可能性がある場所は常に手がつけるように意識しましょう

ペース


ペースはゆっくり一定のスピードで歩くのが基本です。
理想は全工程同じペースで歩くことです。しかし、登りがあれば下りがあり、平坦や岩場と状況によって同じペースで歩くことは難しいです。そこで各区間を同じペースで歩くことを目標にします。登りなら途中でペースが落ちないようようにペースを維持します。
※ペースの維持は感覚で行うようにしてあまり難しく考えないようにしてください、歩行もペースも基本は『無意識』です。

一定のペースで歩くことで体にその運動を覚えさせます、ペースに変化があると体にとっては大きな負担となります。あと出だしは少し抑え目のペースで歩き始め(体のスイッチが入るまで)、徐々にペースを上げていくと楽に動けます。
とはいえ、区間ペースを一定に維持することは非常に難しいことです。何度か歩いたことがあるルートなら配分を考えることは簡単ですが、初ルートの場合はどのくら登りが続くのか判断できません。初見ルートの場合は、普段のペースから一段階落とすと対応しやすいかもしれません(それか計画段階で地形を完全に理解してペースを割り出す)。

私は、ペースに関しては自分の体調で調整しています(区間ペースは一定)。体力の減り具合や回復のタイミングで次の区間のペースを調整しています。筋力疲労は特に注意して張りがでたらペースを落として回復に努めています、基本的に無理のないペースで歩いていますが、予定時刻に遅れが生じていればペースを早めたり調整することもあります。あと気分によってペースが著しく変化します。
「たのしー ⇒ ハイスピード」「つまんねー ⇒ ロースピード」

ペースに関して留意しなければならない重要な事が一つあります。
ペースが乱れる原因の一つに『自己顕示欲』や『虚栄心』や『負けん気』などの『自惚れ』があります。こいつは厄介な存在で、ペースを乱し体力を激しく消耗させる悪魔です。
人がいるとついつい調子に乗ってしまう人は要注意です(わたしです)。

・前に人がいると自然と足早になる人
・後ろから人が来ると負けじとペースを上げる人
・すれ違い時に「おれは早い!」と疲れているのにペースを上げてしまう人
・そして人けのないところまでペースを上げ、ゼエゼエと息を切らして休む人

この様な歩き方をしていたら、すぐに調子が悪くなってしまいます。
「だれもお前のことなんて気にしてないから」と、謙虚な気持ちを持ちましょう。そんな気持ちがよぎったら、「この悪魔め、私はダークサイドには絶対に堕ちない!」と善の気持ちで追い払ってやりましょう。
山は勝ち負けや優劣を競う場所ではありません(トレランレースは別)。競争や自己アピールは職場でやりましょう。

景色の楽しみ方


山の景色の楽しみ方は
・山頂や眺望の良いポイント
・登山道の植物鑑賞
・沢や滝、森林のマイナスイオン浴
・人間観察
など色々あります。

景色をじっくり楽しむなら、『景色タイム』を加味した余裕のある計画を立てましょう。疲れていても・荷物が重くても・長い行程でも、景色はしっかり楽しみましょう。
山頂に着くなりカメラパシャリ「はい、しゅーりょー、次!」という機械的な行動はよろしくありません。
せっかちな人は、集中して景色を堪能しすぐに切り替えたり、動きながら景色を楽しむ事がオススメです、景色に見とれて転倒しないように注意してください。

休憩のとり方


休憩は多すぎず・少なすぎず、地図の各ポイントを目安に休みましょう。
個々の体力や山行スタイルによっても異なりますが、一時間に一回が目安すになります。短すぎる休憩間隔や長すぎる休憩時間は、かえって体調を崩す原因となるので、適切にとるようにしてください(体調不良・ランチタイム等は除く)。

愛煙家の皆様は風の向きを考えて、喫煙しましょう。
喫煙は堂々と、吸いながら「やばっ!超タバコうめーー!!」とタバコの良さをアピールしましょう(*^^*)

単独とパーティー山行


一人で歩くのと複数で歩くのでは、歩き方や楽しみ方も異なります。どちらが楽しいかというと別のスタイルなので、それぞれ特徴があり使い分けるのが良いと思います。

私は友達がいないのでぼっちスタイルです、複数で歩いている人を見ると妬ましく思え、すれ違いざまに小言をつぶやいています。「おまえらなんてかつらくすればいいんだ・・ブツブツ」
というのは冗談ですが、「楽しそうだなー」「寂しいなー」とは思います。仲の良い老夫婦を見るとこっちまで幸せな気分になります。

でも、現在自分が追求しているのは『山との一体感』で、これは一人の方が得られやすい。
無心の状態で山を駆け抜け、山のオーラを吸収する。印象的な景色で満たされるのではなく、殺風景でもその景色に引き込まれていく感覚が生じる事がある。
絶景を見て感動する感覚とは異なり、何気ない景色の中でストンと落ちてその景色に飲み込まれていく。自分の体が自然に同化していく感覚は、例えようがなく新鮮で心地よい。
この感覚に陥る方法はまだ解りません、意識が無の状態である事、体調が良く軽快に動ける事、あと何かの要素が混ざり合った時にこの感覚を得られるようです。
トリップ状態に近い感覚なので、その状態を維持し続けると(いつもは長くは持たない)、谷間にダイブしたり危険な状態に陥る可能性もありそう(-.-;)

あと一人の場合のメリットは、色々な人と話ができる事です。単独同士や複数のパーティーと山話をしたり、そこで出会った人と行動を共にしたりと、一人の場合は周りを気にせず話しかけられるのがいいですね。

自然との一体感(同化)を楽しみたいなら 『ぼっち山行』
談笑したり、景色や達成感を共有するなら 『パーティー山行』
ぼっちは変な方向に追求しがちなので、やり過ぎに注意しましょう。

単独行
このイラストは単独行の魅力がよく表現されています

樹林帯を詰めて高度を上げていく、やがて眺望が優れたピークに辿り着く
先に見える山々、道は永遠に続いているようだ
ちっぽけな自分の存在に気付かせられる、しかし突き動かされる衝動
山は広くそして深い、旅はまだ始まったばかりなのだ
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コメント

おおう、これぞ私の求めていた情報。こんばんは。
目についた所に足を置きたくなる、だめですね。
一般コースの登りで歩けちゃうのは当たり前ですね。
はじめの頃より歩けるようになった気がして、
わかっちゃいつつ飛ばしてました。
区間でペースを決める、決めるってのは守るってことか。
意識して歩こうと思います。

『山との一体感』興味深いです。
もっとフィジカルな感じだと思ってたけど、そんなこと追求されていたのですね。
私は歩いててなんというか硬直と弛緩がごっちゃになって、
残酷なようなでもプルプルと全肯定というような、
すごく変な感じになることはあるんですが(あっけない)
もっと歩いていたらいつか、そんな一体感が得られるのかもしれない!
でもいつもろくでもないこと考えて歩いてるから
もっと無心にならないといけない!


今日のお話、山歩きの楽しみが広がる予感がしました。

講座系は書こうと思っていたんですが、あまり需要が無さそうなので控えてました。
ボチボチ書き残していこうと思い、現在カキカキ中です(全編書く予定)。

> 目についた所に足を置きたくなる、だめですね。
目についた所で安定して歩ければ問題は無いと思います。

> 区間でペースを決める、決めるってのは守るってことか。
区間ペースはペースを一定に保つという事です。登り区間なら起点の時点で自分の体力と相談しペースを決めます、あとはそのペースで終点まで維持する感じです。

私は音楽でノリが良い曲を聴いていると、どんどんペースが上がることもあります(´・ω・`)

> 私は歩いててなんというか硬直と弛緩がごっちゃになって、
> 残酷なようなでもプルプルと全肯定というような、
> すごく変な感じになることはあるんですが(あっけない)
それはそれで興味深い状態ですね

一体感は個人差があるので、症状は異なると思います(性格や考え方による違い等)。
その状態になろうと望んでもなれないし、けど感じようとする気持ちは絶対必要な気がします(無意識で)。

う~ん、難しいな。ためしてガッテンで特集を組んでもらうしか無いかも。
私のコメントの改行は滅茶苦茶だ。。
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