黒とカラス色(カラーコーデ)

山行でも山道具でも音楽でもない、今回は色彩コーディネートのお話。
黒とカラス色(カラーコーデ)
カラスの色を黒と勘違いし、カラス色のウェアを身に着けたら、他のウェアと相性が良くなかった。
『真っ黒なツキノワグマにカラスの羽が生えた』
これが今の私の状態。この色の違和感はどうすれば無くなるのか?先週はその事ばかり考えていた。

色彩について


性質や性格、全ての物には相性があり、色も組み合わせによって合う合わないがある。
印刷物やデジタル物と物体では色合いが変わってくるが、基本は同じ。2つの違いは素材の質感(性質)が加わる事で、個別の色の印象や組み合わせの相性が変わる事もある。

色には『色相・明度・彩度』の3つの要素があり、色相は赤や青や緑、明度は明暗、彩度は鮮やかさ、これらの要素によって色は構成されている。
下図は色を表すカラーチャート。横軸は色相、縦軸は『色調』、色調は明度と彩度を合わせた色の系統。明度と彩度のカラーチャートもあるが、色相の一つの色に対するものなので、このカラーチャートの方が説明しやすい。
カラーチャート

色調(トーン)は真ん中が原色のビビットトーン、上がペールトーン、下がダークトーンと呼ばれ、ビビットに『白』か『黒』を混ぜるとトーンが変化する。図には記されていないが、最上部は色相が無くなり全て白、最下部は黒になる。

2つの色を配色する場合、同じトーンの色を組み合わせると相性が良い。派手に強調したいなら彩度の高いビビットトーン、柔らかく淡白にしたいなら淡いペールトーン、落ち着きをもたせるならダークトーンと同じトーンから色を選択する。

ファッションに関してはトーンと年齢は相関関係があり、若い人はビビットが似合い、歳を取ると真ん中から上か下のトーンが似合う。これはトーンと容姿が持つイメージが関係し、彩度が強いビビットは若く情熱的、ペールやダークは安らぎや落ち着きのあり、加齢によってそれらを好む傾向にある。また、自然でも成熟したものは明るく、そこから色素が失われていく。
山でビビットな登山ウェアを着ている高齢者に違和感を感じるのは、この点が関係している。気持ちの若さを表現していると言えなくもないが、肌の質感とビビットは相性が良いとは言えない。

同じトーンから色を選択しイメージを統一させるのが良いが、トーンの度合いが極端なものは相性が悪くなる。カラーチャートの一番上の「ベリーペールトーン」と一番下の「ベリーダークトーン」がこれに該当する。
限りなく白に近い色、限りなく黒に近い色、これらの色は特徴やイメージが曖昧で印象がわかり難い。良く言えば「繊細」悪く言えば「中途半端」、単色でも扱いが難しいが、異なる色相を合わせると、主張がブレてしまい、何が表現したいのか分からなくなってしまう。

下図はその配色、カラーチャートの一番下(左2つ)と一番上(右2つ)の列から色を選択している。
この配色のファッションコーディネートは難しく、色彩と素材を熟知したお洒落さんでないと着こなしは出来ない。
特に難しいのは左のダークトーン、右のペールトーンは若い女性に人気があり、街で見かけるのはダークよりもペールの方が圧倒的に多い。ペールトーンは主張の激しいビビットの若さとは違い、若葉や新緑といった瑞々しい若さのイメージを持っている。
配色

二段目のトーンの場合はこんな感じ、同じ色相でも一段トーンが違うだけでイメージは変わってくる(左2つがディープトーン、右はライトトーン)。このトーンだと色相がはっきりしているからコーディネートもしやすくなる。
配色
コーディネートで単色ではなく複数の色を使う理由は、それぞれの色のイメージを出したいから。主張するにはコントラスト(色の差)を高くして違いを強調する必要があるが、ベリートーンはその差が低く逆に特徴を殺してしまう。

黒とカラス色


今回の私の悩みはベリーダークトーンのコーデ。黒と黒に近い青(カラス色)の2つの色が持つ特徴がうまく噛み合わず、違和感が生じている。

ファッション系統には色の特徴はあり、モードは黒、カジュアルやクラシカルはダーク系の色を用いるが、黒と青との違和感はこの部分も多少関係している。
私は普段はモード、山ではカジュアルを着ているが黒に統一することでモード感を出している。
今回購入したウェアの色が青と知った時、返品まで考えたのは、私のファッションスタイルが変わってしまう事を懸念したから。この色は私の哲学に反し、それによる違和感もあった。

青が与える印象は「爽やかさ」、それに上品な黒を混ぜると「エレガントやシック」になる。
黒もエレガントでシックだが「シンプル」という特徴を持っていて、ここがベリーダークトーンの色と異なる(シンプルは黒と白のみが持つ特徴)。
シンプルとは洗練の意味を持ち、モード系ブランドがモノトーンカラーを基調とするのは、色相が持つイメージを排除して、形や素材の表現に特化する意図がある。

色はこの2つ、どちらも暗く、イメージは似ているが微妙な違いがある。
カラス色と黒

色だけだとわかり難いからイラストを作成してみた。アイテムはシャツジャケット、右が製品の色(カラス色)、左は黒にした場合。インナーはアイテムの境界線がわかるようにダークグレーにしている。
見た感じはの印象は、左はモード、右はカジュアル感があるが、右のジャケットとパンツに色彩の違和感を感じる。
スタイル画
※イラストは色彩上の違いであって、実際はこれに素材感が含まれる。ウールなら暖かみ、絹やナイロンのサテン地は光沢感、ニットなど同じ素材でも織り方で見え方が変わってくる

スタイリング

このファッションの違和感を払拭するにはどうしたらよいか?先週からそのことを考え、試行錯誤の末、ひとつのコーディネート案を見つけた。

方法はいくつかあり、簡単なのはアイテムに合わせてしまうこと。カラス色ジャケットに合うコーディネートをすればよい。
紺に合うのはライトグレー、パンツをグレーにして、あとは自然に合うアースカラーを適当に配色していく。冬っぽいウールの配色にするとこんな感じ(山歩き用)。
スタイル画
しかし、私は黒しか持っていないからこの方法は使えない。それに前述したこのスタイルは私のファッショではない。

次はカラフルにしないで、トーンを合わせ、且つ違和感を感じさせない方法。
カラーコーディネートはアイテムの面積や位置によってバランスが変わるので、黒とカラス色の面積を調整してバランスを取れば良い。
先のイラストに濃紺の帽子を加えるだけで、上半身は青、下半身は黒とバランスが良くなった。
スタイル画
この方法を真っ先に考えたが、私には紺の帽子が似合わなかった・・・
紺は知的な色なので、太いフレームや丸みのある眼鏡を使って顔にインパクトを持たせると合わせやすい。

次にで考えたのが、別のアイテムを使ってバランスを調整する方法。ジャケットはカラス色、帽子・インナー・パンツとその他は黒、これに他の色を使って、色彩の違和感を補正していく。

アイテムは『ネックウォーマー(ネックゲイター)』。全体にアクセントを持たせるなら下半身よりも上半身、色の面積は小さく別の違和感を生み出すこともない。
ネックウォーマーは山歩きでの機能もアップし、首元からの風の侵入を防ぎ保温の効果もある。

素材は化繊はウールと合わないからNG、撥水性と保温性の同素材のウールがベスト。
色のトーンはダーク系かライト系、敢えてトーンを変え、首元にアクセントを持たせる事で目線を集め、違和感を取り除いてしまうのが狙い。
左はカラス色のネックウォーマー、真ん中と右はトーンを変えた場合、明るい色が主張していてもベースのダーク感は損なわれていない。
スタイル画

ポイントは位置、頭部と体の間に配置することでバランスを取っている。もし、帽子や靴にこの配色をするとこのように目線が上や下にいってしまい、新しい色彩の違和感が出てしまう。
スタイル画

さっそくネックウォーマーを探したが、コーディネート出来そうなアイテムは簡単には見つからなかった。
カジュアルブランドのアイテムは素材の相性が良かったが、機能性に問題があった。街着は運動しない前提だから保温性が高く、山には過剰な機能。
私はこれまでネックウォーマーを使ったことはなく、雪山でも風が強い場合のみ首元を温めている(目出帽で)。冬の低山は風は弱く、走ったりして体温が上がる事を考えると、厚みのある生地だと不快に感じてしまう。
RoToToの「DOUBLE FACE NECK WARMER」は魅力的だったが、生地が厚く不採用となった。

他に合いそうなアイテムもあったが、古いモデルで在庫切れ。。中々お目当ての物が見つからず困っていると、ニヤけたおっさんが私を救ってくれた。
おっさん
「これだ!」

黒に合い、品があって、カラス色の青と異なる系統のダークパープル、この色なら相性が良さそうだ。私が探していたのはパープルかオリーブで、ダークパープルを一番の候補としていた。

アイテムはHoudiniの「Desoli Chimney」。
探し始めにフーディニのアイテムはチェックしていたが、輸入代理店のフルマークスのサイトの写真は明るいパープルだったので、この時はスルーし、次に本国のブランドサイトを見ると色の濃い写真が掲載されていた。
光の当たり方や商品単体か実際のコーディネートの写真で印象は違って見える。どちらが正しい色かは不明だが、光が少ないと濃くなるなら、それは私が求めている色となる。
Houdini - Desoli Chimney
フルマークス代官山店で実際の色を確認すると、そこまで濃い色ではなかったが、店内のネイビーのアイテムと合わせ色の問題がなかったのでこのアイテムを購入した。
素材はメリノール、生地は薄く私の用途にあった機能性、実際のコーディネートもいい感じだった(もう少し濃くても良かったかも)。
コーデ
コーデ
コーデ
コーデコーデ

配色や面積や位置、ファッションとは面倒くさいものだ(その点オールブラックは楽)。カジュアル、モード、ヴィンテージ、拘りは徐々に細かくなり、他人にはその違いがわからなくなっていく。今回の紺と黒のコーディネートも街を歩けばよく見かけるが、目を凝らさなければ違和感には気が付かない。
ましては山着、機能的な素材は気にしてもカラーコーディネートを考える人は少ない。

色彩は法則があるから理解しやすく、学んで損はないと思う。
一定までは論理でセンスが上がり、その先は個人の感性、色の変化に興味を深く持ち、考えていけばセンスは向上する。
色彩理論は自然を元にしているから、山歩きでも色彩は学べる。色を感じる力が増せば、景色を細部まで観ることができ、想像力を働かせれば自然の色を改変することも可能だ。
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