北ア「The Cat Face」Pt.2(槍ヶ岳)

2日目は西鎌尾根と東鎌尾根。槍ヶ岳の道は何度も歩いているが日中の時間のみ、暁の稜線ではどんな景色が見られるのか。
北ア「The Cat Face」Pt.2(槍ヶ岳)
畏怖の念を抱かせる槍ヶ岳。若き頃はその魅惑に取り憑かれ、幾度となく頂上を目指した。山を始めて間もない時に表銀座から縦走し、約15年前の年末年始に北鎌尾根から登った際は暗黒と極寒の登頂(19時か20時くらい)、最後に山頂を踏んだのは約10年も前のことだ。
何度も山頂を踏み、それだけに槍ヶ岳に対して特別な感情はない。北アルプス北部の縦走では必ず通過する要所(ポイント)、その程度の認識でいた。

夜明け間に双六小屋を出発し稜線を進んで行く。西空の雲の間から光が漏れ、槍ヶ岳と北鎌尾根のシルエットが浮かび上がる。
西鎌尾根

「美しい・・・」

ただ単純に美しい、それ以外の形容する言葉は見つからない。明るい日中の槍ヶ岳なら何も感じないが、この絵は何度でも見たいと思った。
穏やかな山と険しい山の違いは、穏やかな山は遠くから、険しい山は近い場所から鑑賞した方が美しさを感じる。険しい山のエッジの効いたシャープなライン(尾根筋)やギザギザしたアップダウンの形状など、ディテールを見るには近い距離でなければならない。

今後しばらくは槍ヶ岳の姿を見ることはないだろう。もし足を運ぶ事があれば、それは今回のこの景色を思い返した時かもしれない。

ルート(全日程)



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【Day2】
 距離:14.170km
 累積標高(登り):1800m
 累積標高(下り):1473m
 ※GPSデータはカシミールで作成

山行記録(Day2 晴れ時々曇り)


3時に出発する予定だったが、空に雲がかかっていたので音楽を聴きながらテント内でもぞもぞしていた。
3時半頃再び空を見ると満天の星、急いで準備をして4時過ぎに出発した。

意気揚々と出発したが、小屋から樅沢岳の道がわからない・・・双六小屋から樅沢岳は何度か歩いているが、道筋を忘れてしまった。直登するのか、巻き気味に登るのか?巻き気味に進むと踏み跡がなくなってしまった。。
小屋に引き返して直登していくと、明瞭な踏み跡を見つけた。

小屋から樅沢岳までは急登だが、その先はゆるやかな稜線、音楽を聴きながら夜明け前のひと時に酔いしれた。
双六小屋~樅沢岳樅沢岳
樅沢岳~硫黄乗越
樅沢岳~硫黄乗越
樅沢岳~硫黄乗越硫黄乗越
硫黄乗越~右俣乗越
硫黄乗越~右俣乗越硫黄乗越~右俣乗越
硫黄乗越~右俣乗越硫黄乗越~右俣乗越
硫黄乗越~右俣乗越

右俣乗越の手前で単独の人に追い抜かれた、樅沢岳を登っている時に下から後続者が居たのは知っていたが、まさか追い抜かれるとは思っていなかった。その人は女性、単独登山女子の凄さをまざまざと見せつけられた。
その強さに惹かれ、音楽や写真を撮るのを控え後を追いかけたが、一向に距離は縮まらなかった。
硫黄乗越~右俣乗越
硫黄乗越~右俣乗越

途中で我に返る「私は何をしているのか?」、女性の尻を追っかけている場合ではない。。休憩をして頭をリフレッシュ、本来の稜線の景色を楽しむ目的に返り、世俗の煩悩を断ち切った。

右俣乗越辺りからは明るくなり、千丈沢乗越に着くと槍ヶ岳とそこに通じる険しい道がはっきりと視認出来た。見ているだけで疲れる登り・・・絶景に昂ぶっていた気持ちが一気に萎えてしまった。。
右俣乗越右俣乗越~千丈沢乗越
右俣乗越~千丈沢乗越
千丈沢乗越千丈沢乗越
千丈沢乗越~槍ヶ岳山荘

途中止まりながら槍の肩(槍ヶ岳山荘)に到着。山頂にはガスがかかっていたので、登らずにスルーした。槍ヶ岳は何度も登っているから、もし天気が良くても登らなかったと思う。
この時の私の表情はぷるQooの顔とは異なり、疲弊して泣きそうな顔をしていた (›´ω`‹ )
槍の肩(槍ヶ岳山荘)槍の肩(槍ヶ岳山荘)

槍ヶ岳から東鎌尾根へ、水俣乗越までの急下降は体力的にも辛いが、登り返しという精神的ダメージも大きい。槍ヶ岳は主脈の要として縦走する場合は必ず通らなくてはならないが、何度も歩いている人にとってこのアップダウンは障害となる。
そんな悩めるリピーターの為に「槍隧道」を作ってみたはどうだろうか?千丈沢乗越から2700m付近を水平に抜けるトンネル、利用料1000円にしても利用者は多いと思う。
槍ヶ岳山荘~ヒュッテ大槍槍ヶ岳山荘~ヒュッテ大槍
槍ヶ岳山荘~ヒュッテ大槍ヒュッテ大槍

ヒュッテ大槍から水俣乗越の下りで不思議な出会いがあった、「お前は俺か」と似た感性の持ち主と暫くの間談笑した。

きっかけはその人が『足袋』を履いて歩いていたから、その姿に共感を覚え私から話しかけた。
足袋から裸足、そこから自然の話へ。自然的思想や奇抜な発想や行動は似ていたが、その人の行動力は凄まじく私の超上位互換と尊敬の念を抱く人物だった。職業はマルチアーティスト、冬場には狩猟を行っているとの事だった。
「あなたは変わっていますね」と私が言うと、「あなたも変わってますね」と返ってくる。そんなシュールな会話は心地良く、いつまでも話をしていたいと思う程、有意義な時間だった。

12月に演劇に出演するそうでパンフレットをもらったが、日時と会場が遠いので行けそうもない。
しかし、その人とはまたどこかで逢えるような気がする、私が登山道を裸で走っていると前から裸人が・・・「あなた、それ犯罪行為ですよ!」「お前もな」
足袋の人
足袋の人

恐ろしい梯子地帯を通過して水俣乗越へ、梯子や鎖場のアドベンチャーコースが苦手な私はには難易度の高いコースだった。
ヒュッテ大槍~水俣乗越
ヒュッテ大槍~水俣乗越ヒュッテ大槍~水俣乗越

北鎌尾根で遭難があったらしく、水俣乗越にはレスキューが待機していた。
北鎌は人気があるようだが、安易にチャレンジする人が多いのだろうか?私は無謀な事を繰り返してきたが、北鎌は技術不足を認識し、フリークライミングを学んだ後にトライした。
結果的にはそこまでのクライミング技術は必要なかったが、最低限のクライミング技術を学ぶ必要はあると思う(北鎌のスキルは少々、前穂北尾根はクライミングスキルが必須)。
水俣乗越

水俣乗越からの登り返しはキツかったが、次第にガスが薄れ始め、上からは紅葉の景色が一望できた。涸沢の紅葉も美しいが、東鎌尾根の稜線は俯瞰して全体を見られるから、人によってはこちらの景色の方が満足するだろう。

水俣乗越からの登りではワラーチを履いて縦走している人達が居た(荷物は60L位の大きなザック)。サンダルで歩けないことはないが、指をぶつけたり保護の事を考えると私には出来そうもない。
それにしても、足袋やワラーチと東鎌尾根にはベアフッターが集まる要素があるのだろうか?
水俣乗越~ヒュッテ西岳水俣乗越~ヒュッテ西岳
ヒュッテ西岳からの眺め
ヒュッテ西岳からの眺め
ヒュッテ西岳からの眺め

西岳から先の稜線からは常念岳の姿が見えたが、西側の山容が非常に美しかった。山頂から真っ直ぐにラインが引かれ、支尾根のジャンクションピークからはそのラインが消え、その一帯は緑に覆われていた。
なぜこの形状に魅力を感じたのか?それは『女性のお尻』に似ているからだ。尾根のラインはヒップライン、裾野に向けてゆったりとした形は包容力が感じられ、女性的な山容にうっとりした。

翌日、常念岳に登ったがそこからの景色には魅力を感じなかった、急峻な険しい山容はむさ苦しく私の好みではなかった。男性的な常念岳を見たいなら常念山脈から、女性的な常念岳を見たいなら東鎌尾根から、常念岳は両方の顔を持つ不思議な山だった。
東鎌尾根から常念岳

ヒュッテ西岳から大天井ヒュッテまでは楽ちんコース、紅葉を眺めながら気持ち良く歩くことが出来た。
ヒュッテ西岳~赤岩岳
ヒュッテ西岳~赤岩岳赤岩岳
赤岩岳~ビックリ平赤岩岳~ビックリ平
赤岩岳~ビックリ平赤岩岳~ビックリ平

ビックリ平から牛首展望台のピークを巻くと大天井ヒュッテに到着した。

大天井ヒュッテでは羨ましい光景を目の当たりにした。ベンチで休憩している男性は小屋の食事を注文し待っていたが、出てきたメニューに驚いた。丼の中には、白く太い小麦粉を練ったもの、茶色い粘り気のある汁、その上にはサクサクとした物体・・・

「カツカレーうどん」

うどんとカレーはわかる、カツって何?
肉は腐りやすく冷凍庫が無いと保存ができない、大きな小屋の場合は設備があるが、大天井ヒュッテは小さな小屋だからそういった類の食材は使用していないと思っていた。
揚げたのカツを見て私も注文するか悩んだが、今日の目的地まではまだ距離があり、ここで時間を取るわけにはいかないので、よだれを拭いて大天井ヒュッテを出発した。
ビックリ平大天井ヒュッテ

今日の最終目的地は可能なら常念小屋、遅れがあった場合は大天荘と考えていた。双六小屋を4時に出発して大天井ヒュッテに到着したのが13時半、体力消耗はそこまで激しくはなく、夕方には常念小屋に到着できそうだった。

しかし、先のカツカレーうどんを見てから考えが変わってきた。夕方に到着して、食事をして、寝て置きてまた歩き始める、窮屈なスケジュールからは楽しさが感じられない・・・「今日は大天荘までにして、ゆっくりと時間を過ごそう」
もしあのメニューを見ていなかったら、機械的にスケジュールをこなす不満の残る結果となっていただろう。大切な事を教えてくれてたカツカレーうどんに感謝!
大天井ヒュッテ~大天荘大天井ヒュッテ~大天荘
大天井ヒュッテ~大天荘大天井ヒュッテ~大天荘

14時半に大天荘に到着。日暮れまでの時間は、音楽を聴きながら山頂や常念方面の散策をして過ごした。
大天井岳
散策
散策
散策
散策
散策
散策散策

夜は風が強くテントが破壊されないか心配だったが、さすがマイテント、骨折すること無く私を守ってくれた。
翌日常念小屋に幕営していた人の話だと、常念小屋も風が酷く、殆ど眠れなかったそうだ。常念小屋は鞍部なので大天井荘よりも風は強いから、目的地を変更して正解だった。

Day3・4に続く。

ルート評価


区間ルート評価


【双六小屋~槍ヶ岳山荘(西鎌尾根)】

景観  :★★★★★
ルート :★★★★☆(4.5)


※夜明けの時間帯による補正含む

景観は槍ヶ岳と硫黄尾根の景色が特に良かったです。
コースは樅沢岳の登りは急登、そこから千丈乗越までは緩く、槍ヶ岳の登りは疲れます。

【槍ヶ岳山荘~大天井荘(東鎌尾根)】

景観  :★★★★☆(4.5)
ルート :★★★☆☆(3.5)


紅葉の時期はこの稜線からの景色が一番美しいかもしれません。
景観は西岳からの涸沢・穂高方面の紅葉、赤岩岳付近からの常念岳の山容が特に良かったです。
コースはヒュッテ大槍から水俣乗越までの下降(梯子の通過に注意)、水俣乗越から西岳への登り返し、大天井ヒュッテから大天荘までの登りが疲れます。

行程・タイム(Day2)


※CTはヤマタイムの値
目的地標高m地点km距離km時間CT備考
双六小屋25470-4:12-樅沢岳の道がわからず迷う
硫黄乗越26041.81.85:371:15
千丈沢乗越27224.93.17:112:30
槍ヶ岳山荘30795.918:041:30山頂はスルー
ヒュッテ大槍28846.918:510:30談笑
水俣乗越24748.51.610:051:20
ヒュッテ西岳27589.5111:161:25談笑
大天井ヒュッテ264013.33.813:372:30
大天井荘292214.20.914:301:15設営後散策
行動時間 / CT合計 10:18 / 12:00


その他の写真


20191006
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