最高のセブンサミット【企画】

「阿智セブンサミット」は誰もが気軽に楽しめるイベントだ。名前は「七大陸最高峰」とかけているが、私には七大陸制覇を揶揄しているように感じた。最高のセブンサミット【企画】
七大陸制覇は百名山制覇と似ている部分がある。達成者は制覇した時点で山との付き合いが終わってしまうか、山との関わりが浅くなる傾向が見られる。
制覇してしまうとその達成感から完結してしまうケースが多いのは、高い山=最高の山と考えてしまうからだろう。また、山そのものに興味がなく、ただのイベントとして見る人もいる。

「制覇するだけでは意味がない」いかに早く、いかに若く、最短期間や最年少、そんな所で特徴を出そうとするが、5年・10年と時間がかかるならまだしも、費用と時間があれば短期間で成し遂げることも可能となり、その期間が短ければ短いほど山の経験は少なくなる。
効率を求めると視野は狭くなり、目的を達成することしか考えられなくなる。ましてやそれが短い期間となると、自然の良さを殆ど知ることは出来ないだろう。
ささっと達成しそれで解った気になってしまうのは、要約した情報を鵜呑みにして本質を理解していないのに似ている。それで山を語られてもその言葉は響かない・・・自然はそんなに浅いものでは無いのに。

七大陸制覇をした人は冒険家と呼ばれることが多い。
冒険家とはそれを生業としたプロの名称であるが、冒険家は永遠に挑戦する者であって、高さを求めなくても、難易度の高い山はいくらでもある。
勿論称賛があるから頑張れるし、スポンサーやクラウドファンディングにしても共感できる一般的な価値がなければそれに投資はしない。しかし、それでも見返りを求めずにやっていくのが冒険家というものではないだろうか。

「アルピニズム」という言葉があるが、日本語のwikiにはこう記されている。
日本にもアルピニズムが流入し、登山を登山として楽しむ慣習・発想・文化が生まれた。日本で「アルピニズム」という言葉を用いる場合には、「より高く、また、より困難な状況・スタイルによる、スポーツ登山を志向する考え方・発想」として用いられている。 従って、特にヒマラヤを中心とした海外登山において、日本を代表するアルピニスト小西政継がかつて「エグゼクティブ登山」と呼んだガイド登山が主流となった21世紀の今日、自称・他称を問わず、アルピニストを称していたとしても、そこにアルピニズムの精神が見られなければ、それは虚像に過ぎない。アルピニズムには、ある見方をすれば「純粋な」、また違う見方をすれば「ストイックで偏狭な」、独特で深遠な精神世界が存在している。

野口健さんは活動家としては素晴らしいが、アルピニストという表現には違和感を感じる。
戦後のブームから何十年と過ぎ、現代の七大陸を制覇する事にアルピニズムの精神は見受けられない。それを行う人はステータスを利用する目的が大きく、山に対する純粋な考えや、自己のストイックな追求があるのかは疑問だ。

私が持つアルピニズムもwikiと同じ精神的な考え方の部分で捉えている。
2002年にアメリカで創刊された「Alpinist」という雑誌があり、全巻ではないが気に入った号は所有している(今は買っていない)。この雑誌は美しい写真で構成され、その写真からは純粋さやストイックさが感じられる。
「アルピニスト・アルピニズムとは何か?」山や壁に魅了され危険を冒してでも取り付きたいと考えるのであって、標高や知名度でルートを選択するのはアルピニズムとは異なる考えに思えてしまう。

Alpinist Magazine

Alpinist Magazine

サミット企画


アルピニズムの話が長くなってしまったが本題は企画の話。最近「阿智セブンサミット」の事を知ったが、よく考えられた企画内容に感心してしまった。
阿智セブンサミット

堅苦しい文章だと億劫に感じてしまうが、説明文からは可愛らしさや優しさが感じられ、楽しそうなイベントの印象を受けた。
【やり方】
①阿智村にある七つの山に登ります
②山頂で、セブンサミットの看板と写真を撮ります
③その写真を認定場所(東山道・園原ビジターセンターはゝき木館)でお見せください
④7枚確認できますと、セブンサミッターとして認定されバッチをプレゼント
コーヒー飲んだりご飯食べたり温泉入ったり阿智村を満喫してください!

※印刷でも、携帯やカメラの画像でもどんな形でもOKです
※実際に登るのはどの時期、どの季節でも構いません
7つ登るのに何年かかっても大丈夫です
※富士見台高原のセブンサミットの看板は、風で飛ばされて行方不明ですので、山頂標識で代用OKです

名山制覇には否定的だが、この企画は自治体の観光施策だから全く意味が違う。
阿智村に点在する七つの山は縦走が出来ないから、何日もかけてゆっくりと制覇することになる。そうやって何度か訪れる事で山以外の紹介もでき、阿智村全体を紹介するのがこの企画の主旨となる。

特産物を食べたり、宿に泊まったりして、そこに住む人達の環境を知る。こんな場所に住んでみたいと考えれば人口増加にも繋がる。
また、子供と一緒に登れば、子供は「セブンサミットを制覇した!」と自慢できるし、親子で何かを成し遂げる事は思い出づくりにもなる。子供からしてみれはこれは冒険であって、その純粋な取り組みからは「小さなアルピニズム」が感じられる。

それと山歩きの経験としても意味がある。
山があってそこに生活が形成される、その関係性を知ることで山歩きの視点も変わってくる。外界とかけ離れた深い山も良いが、里山はまた違った良さがある。
このイベント企画は、七大陸制覇とは異なり達成は終点ではない。その過程で多くの事を経験し、それらのきっかけが新しい意欲や目的を生み出す。
「標高は最高ではないが、気持ちは最高になれる」そんな意味も含まれているのかもしれない。

どのくらいの効果があるのかは分からないが、認定バッジの在庫が無くなっている事からそれなりに反響はあるようだ。
この成功例に倣って、今後は他の自治体の「サミット企画」も出てくるかもしれない。
「山梨県2000メートル峰28座」「奥多摩町1000メートル峰14座」「飯能市セブンサミット」「高尾町ワンサミット」。殆ど登っている山だと思うが、そういった企画があれば記念バッチを目当てに登ってみるのも良さそうだ。

私は恵那山を含むこのエリアは全く登っていないから、この7座を制覇してみたい。やるとしたらセブンイレブン方式の24時間営業、登って下って移動してを繰り返し一気に制覇、誰よりも早く終わらせて・・・あれ?これではセブンサミッターと同じ思考ではないか。。
このやり方はこの企画の主旨に反している悪い例、淡々とタスクをこなす登り方は百名山ハンターと同じである。
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◆『音楽鑑賞UP』 もっと気持ち良く音楽を聴けるようになりたい(山で)

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