キツネと南東北の山①(計画)
それならばキツネを飼っている施設に行ってみよう。動物園にもキツネはいるが檻の動物には興味がない、出来るだけ自然な環境で触れ合いたい、それが叶うのが「宮城蔵王キツネ村」だった。
『キツネに会う』これが今回の旅(山行)の主目的となるが、東北まで行って山を歩かないのも勿体無い。
交通機関を使ってキツネ村に行くのでは少々面白さに欠ける、それなら数日かけて山を縦走しゴールにキツネ村を設定してみたらどうだろうか。
苦労が多ければ多いほど感動は大きくなる、可能な限り距離を伸ばせば、劇的な演出効果が得られること間違いなしだ。
そして「狐を求めて三十里ルート」が出来上がった。総距離は100km弱、三十里は118kmだが「母をたずねて三千里」とかけて三十里と名付けた。
もくじ
山行計画①
日本最長の山脈となる奥羽山脈は、個別の登山道しか敷かれておらず端から端まで縦走することはできない。
東北の山は長い縦走コースが少なく、営業小屋も少ない。故に基本的に日帰りで歩くというのが東北の山の特徴となる。距離が長めとなると朝日連峰や飯豊連峰、それと今回計画した蔵王連峰が該当するが、1日・2日間で踏破できる距離となりそこまで長くはない。
山域はキツネ村がゴールとなるので、蔵王を中心としてルートを作成していった。蔵王連峰は観光色が強い(道路敷設やスキー場等の人工施設)という理由から興味のない山域だったが、この機会に歩くことにした。
可能な限り縦走路を伸ばしたい、そこで蔵王連峰から北の山域にルートを繋ぐことにした。蔵王連峰の北の二口山塊、更に北の船形連峰、船形連峰から北には登山道が無かったので、起点は船形連峰の泉ヶ岳とした。
『船形連峰 ⇒ 二口山塊 ⇒ 蔵王連峰 ⇒ キツネ村』
距離は約90km。3つの国(山域)を訪ね、小さな村落でキツネの大群に出会うというドラマティックな展開。キツネ村をテーマパークと考えず、偶然遭遇したというシチュエーションをイメージすれば完璧だ。
山行計画②(遅延のため中止)
今回の行動可能日程は6日間、「狐を求めて三十里ルート」の日程を4日間と考えていたので、残り2日は別の山を歩く予定でいた。
山域は蔵王連峰と同様に興味のなかった吾妻連峰と安達太良山、吾妻連峰は以前登山口まで行って「つまらなそう」と感じ中止した事があった。蔵王山(熊野岳)と吾妻山(西吾妻山)は百名山、百名山を制覇したいという気は毛頭ないが、年をとって気が変わるかもしれないし、登るならこの機会しかないと考えた。
安達太良は冬に登った事があるがどんな山だったかあまり記憶になかったので、無雪期に歩きたいと思っていた。
し か し
船形連峰から二口山塊の間でハマってしまい、行程が1日遅れた為にこのルートは中止となってしまった。
でも、もし順調に進めたとしても中止にしていた可能性は高い。近年は3日もすると山の生活に飽きてしまい、便利な生活に戻りたくなってしまう。今回の場合は一度下山してからとなるため、下界の生活環境に触れた瞬間に帰宅を選択していたと思う。
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本当は歩きたかったルート
阿武隈山地の北部の亘理地塁山地、この山域は前から気になっていて『歩いてみたい山リスト』に入っていた。
阿武隈山地(高地)は宮城県から茨城県にかけて広がる山地。全体的に丘陵帯の様な複雑な地形構造となっているが、その中で亘理地塁山地だけは直線的な稜線となっていて、これが地図上でとても目立っていた。
200m~300m台の低い標高、東に阿武隈川、西に仙台湾、その間の稜線からはどんな景色が見られるのだろうか。
ルートを作成してみると、距離41kmの累積標高は2740m↑2744m↓と、軽量日帰り装備で何とか踏破できるかもという内容だった。今回の装備だと12時間以上、前日までの疲労も考えると一日では厳しそうだ。
ならば幕営をするか?しかし、里山での幕営はしたくない。そもそもここは縦走装備で歩くようなルートではなく、駅のロッカーを利用するか、車を駐車して日帰りするルートなのだ。
今回の装備では不適切、無理をして歩いても楽しめないのでこの山域は次の機会とした。
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装備一覧/使用・消費量
今回の装備リストと使用・消費結果
種別 | 道具 | 個数 | 備考・消費量 |
---|---|---|---|
ウェア | 化繊帽子 | 2着 | |
化繊Tシャツ | 3着 | ||
化繊ショーツ | 1着 | ||
化繊トレッキングパンツ | 1着 | 藪漕ぎ用 | |
下着(化繊と綿) | 2着 | ||
短い靴下(ノーマルと5本指) | 2組 | ||
トレランシューズ | 1足 | 【破損】 | |
ビブラムファイブフィンガーズ | 1足 | ||
軽量ジャケット | 1着 | 雨・防寒用 | |
ハードシェル | 1着 | 雨・防寒用 | |
レインパンツ | 1着 | 雨・防寒用 | |
化繊ロングスリーブ | 1着 | 幕営用シャツ | |
化繊タイツ | 1着 | 幕営用パンツ | |
ウール靴下(厚手と薄手) | 2組 | 幕営用靴下 | |
ダウンジャケット | 1着 | 防寒用 | |
薄手フリースロングスリーブ | 1着 | 防寒用 | |
薄手化繊グローブ | 1組 | 【未消費】 | |
薄手フリース帽子 | 1着 | 【未消費】 | |
ウールタイツ | 1着 | 防寒用 | |
移動用・着替え衣類 | 1式 | 移動用 | |
ザック | 40Lザック | 1個 | 【破損】 |
トレランザック | 1個 | 【未消費】 | |
ザックカバー | 1個 | 雨用 | |
小型ショルダーポーチ | 1個 | ||
幕営装備 | テント | 1式 | |
トレッキングポール | 1組 | ||
銀マット | 1個 | ||
エアーマット | 1個 | ||
化繊シュラフ | 1個 | ||
調理器具 | コッヘル | 1個 | |
ストーブ | 1個 | ||
燃料250ml | 1個 | 【1/4消費】 | |
小物 | 手ぬぐい | 2枚 | |
速乾タオル | 1枚 | テント内用 | |
トイレットペーパー | 適量 | ||
ヘッドランプ | 1個 | ||
腕時計 | 1個 | ||
スポンジ(ザックの負荷軽減、両肩と腰) | 3個 | 【大活躍】 | |
折りたたみ傘 | 1個 | 【未消費】 | |
500mlハードボトル | 1個 | 行動用 | |
プラティパス(1L) | 1個 | 行動用予備 | |
プラティパス(2L) | 1個 | 幕営用 | |
薬(胃腸薬・下痢止め・痛み止め等) | 1式 | 【胃薬3包消費】 | |
予備電池(単4) | 3本 | 【未消費】 | |
モバイルバッテリーと各種ケーブル | 1式 | ||
携帯電話 | 1個 | ||
iPod | 1個 | ||
コンパクトデジタルカメラ | 1個 | 【ケース破損】 | |
現金・財布・保険証など | 1式 | ||
地図(山と高原と地理院地図印刷) | 1式 | ||
鈴&コンパス&ナイフ | 1式 | ||
遠視用眼鏡と老眼鏡 | 2個 | ||
洗面具&お風呂セット | 1式 | ||
食料 | 朝・行動用:ソイジョイ | 4個 | 【3個消費】 |
朝・行動用:ぷるんぷるんQoo | 6個 | 【全て消費】 | |
朝・行動用:チョコレート菓子ブラックサンダー | 1袋 | 【3/4袋消費】 | |
夜用:乾パン | 1袋 | 【1/4袋消費】 | |
夜用:レトルト | 4個 | 【3個消費】 | |
夜用:小分けカップ麺(不足分・予備) | 4個 | 【3個消費】 | |
夜用:みそ汁・粉末スープ(不足分・予備) | 4個 | 【3個消費】 | |
つまみ:ふじっ子塩こんぶ | 1袋 | 【全て消費】 | |
飲料:出発時の飲料(水とカルピスW) | 3.5L | 【消費】 | |
飲料:ティーバッグ紅茶 | 10包 | 【6包消費】 | |
飲料:粉末コーヒー | 適量 | 【未消費】 | |
飲料:粉末スポーツ飲料(1L用) | 3袋 | 【2袋消費】 | |
飲料:レモネード粉末 | 適量 | 【1/2個消費】 | |
非常食:ドライソーセージ | 1個 | 【消費】 | |
嗜好品:タバコ | 4箱 | 【3箱消費】 |
今回の貢献度No.1山道具は「スポンジ」、スポンジが無かったら肩と腰の症状はもっと酷くなっていた。
ベルトをしっかり締め、正しく装着(腰への分散)していても、長時間背負っていれば肩への疲労は蓄積していく。特に今回のような激藪エリアでは上半身を激しく動かしたり、引っ掛かりもあり、どうしても肩や腰が擦れてしまう。
擦れはザックのショルダーパッドや背面パッドの弾力性が高くてもは発生してしまうので、軽減や防止をするには体側を保護する必要がある。
柔らかい素材と密着性、軽くて水分を含まない素材、それらの機能を満たしているスポンジは、補助道具に適している。
スポンジは見た目がダサいという欠点があるから、デザイン性の高い製品を作ってくれると嬉しい。私の様な重荷に慣れていない人や、女性の需要はあると思う。
破損した道具はトレランシューズとザック。
シューズは藪エリアでぶつけまくってアッパーに穴が開いた。丈夫なトレッキングシューズや登山靴なら壊れなかったかもしれないが、重くて運動性能の劣るシューズだったらもっと苦労していたと思う。
ザックは最終日に雨蓋のファスナーが外れてしまった。これで使える中・大型ザックは全て壊れてしまったから、今後は長期山行が出来ない事に・・・シンプルなデザインと機能の黒か赤の40Lくらいザック、ずっと探しているのだが良いのが見つからないのだ。。
食料はいつも通り余った、2日目は疲労困憊から胃が受けず何も食べる事が出来なかった。
後半は携帯していた食料を食べる気にならずエネルギー不足に悩まされたが、5日目の蔵王レストハウスで1000キロカロリー超えの「釜カツ丼」を食べた後は快調なペースで歩けた。
『よく食べればよく動ける』あたり前のことだが、きちんと食べられるメニュー構成に改善する必要がありそうだ。インスタント系ではない本格的な山ごはん、調理のできるコッヘルや食器やカトラリーにも拘っていく、そういう方向性の転換も良いかもしれない。
山行記録に続く
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